ビットコインマイニングの現状は?2026年のハッシュレートと収益性を解説

この記事のポイント
- 2026年のビットコインマイニング市場では、ハッシュレートと難易度がピークから低下し、6月には収益性を示すハッシュプライスも過去最低を更新しました。
- 8月はビットコイン価格の上昇によって収益環境が改善していますが、旧型機や高い電力コストを抱えるマイナーには厳しい状況が続いています。
- ビットコイン価格だけでなく、ハッシュプライス、難易度、機器効率、AI事業への資本移動をあわせて確認することが重要です。
2026年のビットコインマイニング市場では、ネットワーク全体のハッシュレートがピークを下回り、マイニング難易度も低下しています。
背景には、ビットコイン価格の下落、ハッシュプライスの低迷、電力コスト、旧型マイニング機器の採算悪化などがあります。8月にはビットコイン価格が回復し、マイナーの収益環境も改善しましたが、すべての事業者が安定して利益を確保できる状況ではありません。
この記事では、2026年のビットコインマイニングの現状と、今後確認したい指標を解説します。
ビットコインのマイニングとは

ビットコインのマイニングとは、専用コンピューターを使って取引を検証し、ブロックチェーンへ新しいブロックを追加する仕組みです。
マイナーは計算処理に成功すると、ブロック報酬と取引手数料を受け取ります。2024年の半減期以降、1ブロック当たりの報酬は3.125BTCとなっています。
マイナーの収益性は、主に以下の要因で変化します。
- ビットコイン価格
- マイニング難易度
- 取引手数料
- 電力価格
- マイニング機器の電力効率
- 機器の購入費や減価償却費
2026年のビットコインマイニング最新状況

2026年8月末の状況は、次のように整理できます。
指標 | 状況 |
ハッシュレート | 7日平均で約900EH/s |
マイニング難易度 | 125.81T |
難易度の年初来変化 | 約15%低下 |
ハッシュプライス | 約39ドル/PH/日 |
ビットコイン価格 | 約7万8,000ドル |
事業環境 | 6月より改善したが、旧型機には厳しい |
6月にはハッシュプライスが27.74ドル/PH/日まで低下し、過去最低を更新しました。7月平均は31.21ドル、8月末には約39ドルまで回復しています(出典:Hashrate Indexの7月レポート、8月30日のネットワークデータ)。
ハッシュレートと難易度はピークから低下

Hashrate Indexによると、ネットワークの30日平均ハッシュレートは約940EH/sとなり、前四半期の約1,004EH/sから6.3%低下しました。2四半期連続の低下で、2025年末のピークからは約12%下回っています(Hashrate Index調べ)。
8月23日の難易度調整では1.31%低下し、難易度は125.81Tとなりました。2026年初からは約15%、2025年の最高値からは約19%低い水準です。
ただし、ハッシュレートの低下がすべてマイナーの撤退を意味するわけではありません。電力需要が増える時間帯の一時停止、設備保守、地域的な電力問題も数値に影響します。
そのため、1日単位の推計値ではなく、7日・30日平均や難易度の推移を確認することが重要です。
マイナーの収益性が悪化した理由
ビットコイン価格が下落した
マイナーが得る報酬はBTC建てですが、電力代や人件費は法定通貨で支払います。そのため、ビットコイン価格が下落すると、同じ数量を採掘してもドル換算の売上は減少します。
8月には価格が約7万8,000ドルまで回復したため、6月より収益環境は改善しました。ただし、2025年の最高値は依然として下回っています。
ハッシュプライスが過去最低圏まで低下した
ハッシュプライスとは、1PH/sの計算能力から1日当たりに得られる予想収益です。
2026年6月の月間平均は30.37ドル、7月は31.21ドルでした。2025年の月間平均が50.68ドルだったことと比べると、依然として低い水準です。
取引手数料収入が少ない
2026年7月の取引手数料は、マイナー報酬全体の約0.69%でした。報酬に占める比率が1%を下回る状態は13カ月連続となっており、半減したブロック報酬を補うほどの収入にはなっていません。
電力効率によって採算が分かれる
7月時点では、効率が25~38J/THの機器が得られる収入は電力1MWh当たり約41ドルでした。推定されるネットワーク平均電力コストの約48ドルを下回っています。
一方、15J/TH前後の新しい機器や、安価な電力を利用できる事業者には利益を確保できる余地があります。「マイナー全体が赤字」ではなく、電力単価と機器効率による差が拡大している状況です。
半導体価格上昇でマイニング機器も高騰している?

2026年はAIサーバー需要を背景に、メモリー価格が上昇しています。TrendForceは2026年7~9月期について、DRAM価格が前期比13~18%、NANDフラッシュが10~15%上昇すると予測しています(TrendForce調べ)。
ただし、ビットコイン用ASICの中心部品はSHA-256の計算に特化したロジック半導体です。GPUサーバーほど大量のDRAMやHBMを使用しないため、「メモリー価格上昇=ASIC価格上昇」とは判断できません。
CoinSharesも、低い収益性を理由に業界全体で大規模な機器更新が起きる環境ではないと分析しています(CoinShares調べ)。
ASIC価格を分析する場合は、本体価格だけでなく、計算能力当たりの価格を示す「ドル/TH」と、電力効率を示す「J/TH」を確認する必要があります。
上場マイナーの決算にも厳しさが表れている

Riot Platformsの2026年4~6月期は、マイニング売上高が前年同期比約19%減の1億1,370万ドルでした。1BTC当たりの採掘コストは、減価償却を除くと49,912ドル、含めると90,631ドルです。同期間の1BTC当たり生産価値71,667ドルを、減価償却込みのコストが上回りました(Riot Platforms調べ)。
MARAの売上高も前年同期比27%減の1億7,490万ドルでした。稼働可能なハッシュレートは22%増加した一方、1BTC当たりの購入電力コストは33,735ドルから38,690ドルへ上昇しています(MARA調べ)。
ただし、採掘コストの計算方法や減価償却期間は企業によって異なるため、単純比較には注意が必要です。
マイナーがAIデータセンターへ移行する理由

マイニング企業は、保有する土地、電力接続、冷却設備をAI・高性能計算向けデータセンターへ転用しています。
Riotは2026年8月、AI事業者向けに191MWのデータセンターを提供する20年契約を発表しました。MARAも、電力設備をマイニングとAIのうち、収益性の高い用途へ配分する方針を示しています。
この動きは単なるマイニング事業からの撤退ではありません。短時間で停止できるマイニングを、AI施設が完成するまで電力設備を収益化する手段として活用する企業もあります。
ハッシュレート低下はビットコインに影響する?

ハッシュレートの低下は、理論上、ネットワークを攻撃するために必要な計算能力の低下につながります。
ただし、2026年8月末も約900EH/sの計算能力が稼働しています。ハッシュレートがピークを下回ったことだけを理由に、ビットコインの安全性に直ちに問題が生じているとは判断できません。
また、ハッシュレートが低下すると難易度も調整されます。難易度が下がれば、残ったマイナーが同じ設備から得られるBTCは増えるため、収益性を回復させる仕組みが働きます。
マイナーによるBTC売却が短期的な売り需要になる可能性はありますが、価格はETFフローや金融政策、市場心理などにも左右されます。ハッシュレートだけから価格の方向を判断するのは適切ではありません。
今後確認したいマイニング指標
今後の事業環境を見る際は、以下の指標を組み合わせて確認します。
- 7日・30日平均ハッシュレート
- マイニング難易度
- ハッシュプライス
- 取引手数料の報酬比率
- ASICのJ/THとドル/TH
- 電力価格と需要調整による収入
- 上場マイナーのBTC売却量
- AI・データセンター関連売上高
よくある質問
2026年のビットコインマイニングは儲かる?
最新型ASICと安価な電力を利用できる事業者には利益を確保できる可能性があります。一方、旧型機や電力単価の高い事業者は採算を確保しにくい状況です。
ビットコインのハッシュレートは下落している?
2025年末のピークからは低下しています。ただし、8月末は約900EH/sで安定しており、日々の推計値には大きな変動があります。
半導体価格の上昇でASICも高騰している?
メモリー価格の上昇は確認されていますが、ASIC価格全体が上昇していることを示す十分な根拠はありません。需要、機器効率、中古在庫なども価格に影響します。
まとめ
2026年のビットコインマイニング市場では、ハッシュレートと難易度がピークから低下し、6月には収益性を示すハッシュプライスも過去最低を更新しました。
8月はビットコイン価格の上昇によって収益環境が改善していますが、旧型機や高い電力コストを抱えるマイナーには厳しい状況が続いています。今後はビットコイン価格だけでなく、ハッシュプライス、難易度、機器効率、AI事業への資本移動をあわせて確認することが重要です。










