BTCは5週ぶり反発 FOMC通過でどうなるか?

8日〜14日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比36万7739円(3.62%)高の1052万7400円と5週ぶりに反発した。
中東情勢の不安定化により、週前半のBTC円は軟調に推移し、心理的節目の1000万円を割り込む場面もあったが、5月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想と概ね合致し、利上げ前倒し懸念が後退するなか、原油価格に利益確定売りが入り、週央には1000万円を回復した。
11日には、トランプ米大統領がイランとの和平交渉について、双方が協議内容と最終条件について承認したと主張し、米軍ヘリ墜落を受けて 計画されていた攻撃を延期すると発表し、相場は1020万円周辺まで回復。翌12日にはスペースXの上場を背景にハイテク株が堅調に推移するなか、BTCは底堅く推移した。
同時に、この日はパキスタン首相が、米・イラン和平合意の最終文書を取りまとめたと発表し、週末のBTC円はジリ高に推移すると、トランプ氏が14日にも和平合意に署名する見通しだと明かし、相場は一時1050万円にタッチした。その後、高濃縮ウランを巡るイランの要求に関して合意と相違があるとの報道もあり、BTCは上値を重くする場面もあったが、今朝方には米・イランが19日にスイスで和平合意に署名すると発表され、1050万円を回復した。

米・イランの和平合意は、今週のBTC相場にとって重要な支援材料となろう。合意内容には、戦闘終結に加え、米・イラン双方によるホルムズ海峡封鎖の解除、イランの凍結資産の一部開放、そして60日間の核協議開始などが盛り込まれている。
無論、核協議の行方については依然として不透明感が残るものの、恒久的な停戦とホルムズ海峡の正常化が実現すれば、原油価格には下押し圧力が掛かる公算が大きい。足元では中東情勢を背景に高止まりしていた原油価格が米インフレ再燃の一因となっていたが、エネルギー価格の低下が続けば、米金利の上昇圧力にも歯止めが掛かろう。物価上昇圧力の後退は、FRB内で利上げに前向きな当局者の見方にも一定の影響を与える可能性がある。
そして、今週最大のイベントは16日〜17日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。FF金利先物市場では政策金利の据え置きがほぼ完全に織り込まれており、市場の関心は金利判断そのものよりも、ウォーシュ議長就任後初となる経済見通し(SEP)と記者会見に向かっていると言えよう。
ウォーシュ議長は以前からフォワードガイダンスに批判的な立場で知られている。会合時点におけるFRBメンバー個人の予想は、市場にとって有用な手掛かりというよりもノイズになり得るとの考えを持っているとされ、今回の会合でも市場とのコミュニケーション手法に変化がみられるかが注目される。SEPそのものを廃止することはできないものの、記者会見で政策運営に関するヒントをどの程度示すのか、あるいは敢えて示さないのかは、今後のFRBの方向性を占う上で重要な材料となろう。
一方で、ウォーシュ議長はインフレ指標として従来のPCEよりも、ダラス地区連銀が算出するトリム平均インフレを重視するとされる。3月以降はCPIやPCEの伸びが再加速している一方、中長期的な物価トレンドを示すトリム平均インフレは比較的落ち着いた推移を続けている。このため、市場で高まりつつある利上げ観測ほどには、FRBが利上げを急がない可能性もありそうだ。BTCにとって利下げ停止は引き続きマクロ面の追い風とはならないが、近いうちの利上げ観測が後退するだけでも、一定の安心材料となるだろう。

テクニカル面では、ドル建てBTC相場が先週レジスタンスとして意識されていた6万4000ドル(≒1024万円)の上抜けに成功した。加えて、スペースXのIPOも無事に通過し、12日には現物ビットコインETFへの資金が6営業日ぶりに純流入へ転じた。米ハイテク株への資金ローテーションも一巡しつつある可能性があり、需給面の改善も徐々に確認され始めている。
総じて、今週前半は米・イラン和平合意による原油価格の低下と、テクニカル的な買いが相場の下支えとなろう。ただ、週央からはFOMC通過後の市場の反応が相場の方向感を左右しそうだ。FRBが利上げを急がない姿勢を示し、中東情勢の正常化が市場に織り込まれていく場合には、BTCは戻りを試す展開が続くだろう。チャート上では節目となる7万ドル(≒1120万円)が次のターゲットとして意識されやすいと見ている。

















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