弱い相場でも投機筋はロングポジションを維持、下落の本番はこれからか?
今週の値動き
- 今週のビットコインは6月10日の1094万円から取引が始まりました。先週までは相場が底堅く推移していましたが、今週はその流れに逆転の兆しがあります。週明けこそ横ばいとなりましたが、火曜日には一時4%強の下落を記録するなど、下落方向へのボラティリティが高くなりました。価格は1050万円を割れる場面がありましたが、水曜日にはアメリカの経済指標に相場が反応し反発しました。一方、相場の流れを変えることはできず、木曜日には上昇分を全てかき消す展開となりました。現在も価格は24時間移動平均線(24EMA)を下回っており、弱い相場となっています。
今週のデリバティブ市場
1.無期限先物取引の資金調達率
ビットコインの無期限先物取引における資金調達率(FR)は、足元でプラスで推移しています。今週は価格が下落していますが、無期限先物取引ではまだロングポジションの比率が多いようです。相場の反転を狙って買っている投機筋がいることを示しています。現在のFRは0.01%近辺で推移しています。
2.先物価格乖離(3ヶ月)
- 3ヶ月先の先物価格と現物価格の乖離率は、今週大きく下落する場面がありました。火曜日に価格が大きく下落した際に、先物市場ではロングポジションの解消が進み、乖離率は一時10%を割り込みました。一方、昨日の価格上昇時に乖離率は再度拡大しました。現在は12%近辺での推移となっています。
3.ロング・ショート清算推移
- 今週は価格が上下に動く場面があり、ロングポジションとショートポジションの両方で清算が発生しました。一方、どちらの清算も小幅に止まってます。ロングポジションでは600万ドル、ショートポジションでは500万ドルの清算が複数回発生しただけでした。先週までと比べても小幅な清算額となっています。
今週のオンチェーン
1.含み益アドレス割合
- ビットコインのアドレスで利益が出ている割合は、今週一時92%程度まで下落しました。一方、価格の反発時には98%近くまで回復しました。現在は94%台で推移しています。まだ多くの投資家が利益が出ている状態のビットコインを保有しており、相場の上値が重い展開が続けば、利確売りが出やすい状況と言えます。
2.利益確定送金推移
- 同指標は、利益が出ている状態の送金量を表しています。同指標が上昇する際は、相場の上値が重くなる傾向があります。先週の高値圏でも上昇していますが、今週は価格の下落時にも上昇が見られました。利益を確定するための大きめの送金がありました。最近の同指標は定期的に上昇しており、相場には売り需要が安定してあることを示しています。
まとめ
- ビットコインの相場は先週1120万円まで上昇した後に明確に売りが増加しています。高値を抜けられなかったことから失望売りが出ています。一方、デリバティブ市場ではまだロングポジションを諦めていない投機筋が残っており、相場が続落した際にはロングポジションの投げ売りが発生する可能性があります。今週の少ない清算状況から見てもまだ下落の本番が今後待っていることが予想されます。オンチェーンデータからビットコイン投資家は、まだ大きな利益を抱えており、利確売りが出やすいと言えます。相場には先週までのような上昇のモメンタムが無く、買い需要が弱い状況です。今後は売り手に有利な相場となりそうです。