3月のオンチェーンレポート、引き続き取引所からビットコインは流出し新規ユーザーも増加傾向
3月のオンチェーンデータ
1.リザーブリスク

- リザーブリスクは、長期保有の投資リスクを指数化したものだ。投資リスクが高いとリザーブリスクは上昇し、投資リスクが低いとリザーブリスクは下落する。2021年の年末にビットコイン価格が最高値圏で推移していた時期は、リザーブリスクが0.0073で推移し、現在と比べるとかなり高い水準で推移していた。ビットコインへの投資リスクが現在より高かったことを示している。
- 3月のリザーブリスクは、0.0025で推移している。2月の0.0022からは小幅に上昇しているが、3月の値はglassnodeがリスクが低い水準としている範囲内だ。長期的な視点でビットコインの投資リスクがまだ低いことを示している。
2.含み益アドレス割合

- 含み益アドレス割合は、ユニークアドレスで行われた送金時の平均価格が現在のビットコイン価格を下割っているアドレスをカウントし全体で割った数値だ。4月に入り価格が下落傾向にあるため、足元では下落している。
- 4月1日時点の含み益アドレス割合は81.0%を記録した。多くのアドレスが含み益を抱えている状態であることがわかる。3月にビットコイン価格が上昇したことにより同指標が上昇した。ビットコインの大きな上昇が終わる際は、含み益アドレス割合が90%を超えている事例が多くあり、現在はこの水準には達していない。今年に入ってからは65%〜80%の範囲で推移している。
3.マイナー・ネットポジション

- マイナー・ネットポジションは、30日間でマイナーアドレスのビットコインの変化を表した指標だ。マイナーの保有が増加しているとプラスになり、減少するとマイナスになる。マイナーが保有するビットコインが増加してると、市場で取引されるビットコインの供給量が絞られ価格が上昇しやすくなり、逆に減少していると供給量が増え価格が上がりづらくなる。
- 3月のマイナー・ネットポジションは、下落する場面が多く見られた。最も下落が大きかった日は、-2500BTCを記録している。しかし3月終盤に入るとマイナーアドレスからのBTC流出は徐々に減少した。3月27日には増加に転じ、マイナー・ネットポジションは増加傾向となった。
- 2021年夏にビットコインが上昇トレンドに突入した際は、マイナー・ネットポジションが大きくプラスになっており、マイナーの動向は注視するべきだろう。2021年始め頃にビットコインが下落トレンドにあった時期は、マイナーからのビットコインの送金が多く確認されており、日時で-2万BTCの送金も確認されている。
4.ノンゼロアドレス

- ノンゼロアドレスは、ビットコインを保有する0以外のユニークアドレスだ。現在のノンゼロアドレス数は41.4万アドレスだ。3月1日から比べると約1万アドレス増加している。2018年最も多かった時期からは約1.5倍に増えており、徐々にではあるがビットコインを保有するユーザーが増加していることを示している。2021年後半からビットコインが下落トレンドに突入した後もノンゼロアドレスは増加傾向が続いている。
5.取引所保有

- 取引所がユーザーから預かるビットコインの保有数は減少傾向にあり、3月もこの流れが継続した。現在は246.5万BTCまで減少し、2018年8月の水準にまで減少した。3月1日からは約10万BTCが取引所から引き出されている。
- 取引所が預かるビットコインの減少は2020年3月頃から始まっている。同時期に企業や機関投資家などがビットコインを保有し始めたとみられ、取引所のビットコインの数に影響を及ぼしている。
3月のデリバティブデータ
1.資金調達率

- 資金調達率は、ビットコインの無期限先物取引で発生する手数料だ。ロング・ポジションが多い場合は、資金調達率は上昇する。ショート・ポジションが多い場合は、資金調達率が下落する。
- 3月の資金調達率は、0.001%程度で推移しておりニュートラルな状態を示していた。ロングとショートのポジションに大きな偏りがない状態だ。年初と比べると足元では、価格が上昇しているが無期限先物取引には過熱感は見られない。
- 上昇トレンドが発生し同様の価格帯で推移していた2021年の頃と比べると、現在の資金調達率はかなり低い水準にある。資金調達率は、2021年の2月と8月に高い水準で推移しており、最高値は0.09%を記録している。現在の相場と比べると無期限先物取引のポジション比率がロングに偏っていたことを示している。
2.先物価格年次乖離率(3ヶ月)

- 先物価格乖離は、3ヶ月先の先物価格と現物価格の乖離率を年次換算したものだ。相場に過熱感が出ると、大きく上昇する傾向がある。2021年の年初に発生していた上昇トレンドが天井を打った際は、先物乖離率が39%を記録している。2021年後半にビットコイン価格が上昇した際も18%まで上昇している。
- 2022年3月の先物乖離率は、足元で上昇傾向が見られたが4.9%にとどまった。4月に入り価格が下落すると再度4%を下回っている。チャート上では比較的低い値で推移しており、まだ上昇の余地があると見られる。3月上旬、ビットコイン価格が底値付近でレンジ推移していた際は2.9%だった。
まとめ
- オンチェーンデータを見る限り、相場に対してそこまで弱気になる必要はなさそうだ。リザーブリスクは低い水準で推移し取引所へのビットコインの送金も減少傾向にある。ノンゼロアドレスも増加傾向に変わりがなく、現在は長期保有者のアキュミレーション時期にあたるようだ。
- デリバティブ市場では、先物取引が強く買われている様子は見られない。ファンディングレートはニュートラルを示し、先物価格の乖離率も長期チャートで見ると低水準で推移している。相場に過熱感はなく潜在的な売り圧力は限定的だろう。ビットコインの価格はここ2週間ほど下落し冴えない値動きとなっているが、底値は徐々に引き上がっていると考えられ、今年の最安値圏の400万円付近はかなり固いと考えられる。










.jpg&w=3840&q=70)

.jpg&w=3840&q=70)