停戦期待で底堅いBTC 相場はトレンド転換局面へ:5月のBTC相場
中東情勢に振り回されつつも上昇維持
4月のビットコイン(BTC)ドルは6万8227ドルで取引が始まった。2日、トランプ米大統領の演説で追加攻撃の可能性が示唆されたほか、ホルムズ海峡を巡る米国の責任放棄も懸念され、地政学リスクの高まりから売りが先行し、BTCは一時6万7000ドル台まで水準を切り下げ、月初は上値の重い滑り出しとなった。
その後、45日間の停戦調整が進められているとの報道が伝わると、過度なリスク回避は一服した。さらに、2週間の停戦で合意したとの報道を受けて市場心理が改善し、BTCは7万ドル台を回復した。
尤も、その後イスラエルによる攻撃継続が確認されると停戦期待はいったん後退し、BTCは上値を抑えられた。ただ、中旬にかけては、イスラエルとレバノンが停戦へ向かうとの観測が支援材料となり、BTCは再び買い戻され、7万5000ドル近辺まで上昇した。
一方、12日には和平交渉決裂が伝わると、停戦シナリオに対する不透明感が再び強まり、BTCは一時的に反落した。ただ、その後に米国とイランの協議再開の可能性が浮上したことで、リスク回避ムードは急速に和らぎ、相場は再び7万5000ドルまで上昇した。
中旬以降には、イランがホルムズ海峡開放を発表したことも好感され、BTCは7万5000ドル台から7万8000ドル台へと上昇した。ただし、米国による海峡の逆封鎖やイラン船舶拿捕が伝わると上値追いは一服し、中東情勢を睨んだ様子見姿勢が強まったことで、相場は7万ドル台後半で揉み合う展開となった。
21日には、先に合意していた2週間停戦の期限が迫る中、米国が停戦延長を発表した。タイムリミット直前での延長決定により、地政学リスクの急速な悪化が回避されたとの見方が広がり、BTCは節目の8万ドルを試す展開となった。もっとも、8万ドル台では利益確定売りが優勢となり、同水準の明確な上抜けには失敗した。
月末にかけては、FOMCを無難に通過したことで米金融政策を巡る警戒感が後退したほか、米主要株価指数も好決算を背景に上昇し、リスク資産全般に買い戻しが入った。BTCもこの流れに支えられ、8万ドル近辺で底堅く推移した。
総じて、4月のBTCは中東情勢の悪化懸念に上値を抑えられる場面がありながらも、停戦関連の前向きな報道が相次いだことで買い戻しが優勢となった。特に、21日の停戦延長発表は8万ドルトライの直接的な切っ掛けとなり、月間の上昇基調を決定づけたと言えよう。月間騰落率は11.85%の上昇となった。

中東情勢をどう見る?
米国とイランの停戦は維持されているものの、その基盤は依然として脆弱な状態にある。米国側はイランに対し、核関連施設の解体や長期的なウラン濃縮停止など踏み込んだ譲歩を求めている一方、イラン側は制裁解除やホルムズ海峡封鎖の解除、凍結資産の解放などを先行条件としており、双方の主張にはなお大きな隔たりが残っている。
こうした中、短期的には偶発的な衝突や海峡周辺での緊張再燃、イスラエル・レバノン情勢を巡るヘッドラインなどにより、市場心理が揺さぶられる展開が続く可能性がある。特にホルムズ海峡を巡る航行リスクは原油価格やインフレ期待を通じて金融市場全体に波及しやすく、BTCにとってもリスクオフ要因として意識されやすい。
尤も、イラン側が取り得るカードは徐々に限られてくるとみられる。ホルムズ海峡の封鎖や周辺国への圧力は短期的な交渉材料にはなり得る一方、長期化すれば自国経済への負担や国際的孤立を一段と強めるリスクがある。また、米国が強硬姿勢を維持する中で、イランが全面的な軍事対立を継続する余地は大きくないと言えよう。
このため、米・イラン情勢のメインシナリオとしては、当面は断続的に小競り合いが続きつつ、協議も先延ばしされる公算が大きい一方、最終的には完全停戦へ向けた枠組み形成に向かう可能性が高いとみている。イランとしても即時かつ全面的な譲歩は国内向けに受け入れ難く、交渉を長引かせながら体面を保つ必要があるだろう。一方で、米国の軍事的・経済的圧力に正面から対抗し続けることも難しいと言え、段階的な停戦拡大や海峡航行正常化を通じて、事実上の妥協点を模索する展開となろう。
従って、5月の相場において米・イラン情勢は引き続きボラティリティ要因として残るものの、全面戦争再開よりも、断続的な緊張と交渉継続を経て停戦が恒久化に向かうシナリオを基本路線としたい。ただし、ホルムズ海峡での偶発的な衝突やイスラエル・ヒズボラ間の戦闘再開が確認されれば、原油価格上昇とリスクオフを通じてBTCの上値を抑える可能性がある点には留意したい。
本格的なトレンド転換が意識される展開
4月のBTC先物市場では、ショートポジションの蓄積が進んだことで、ポジション維持料に相当する資金調達率(fr)がマイナス圏で推移する期間が継続した。市場では中東情勢悪化や8万ドル近辺での上値の重さを警戒する向きが根強く、先物市場では下落を見込むポジションが積み上がっていたと言えよう。
こうした中、当方では従前より、8万ドル上抜けによってショートスクイーズが誘発される可能性を指摘してきた。もっとも、4月中は断続的に8万ドルを試す場面がありながらも、利益確定売りや戻り売りに押され、明確なブレイクアウトには至らなかった。5月に入り、実際に8万ドルの上抜けに成功しても、大規模なショートの踏み上げは依然として発生していない。
尤も、5月に入ってもfrはマイナス圏での推移が続いており、構造的にはショートスクイーズ発生リスクが依然として潜在しているとみられる。frが長期間マイナス圏に滞留していたことは、市場参加者のポジションが依然として下方向に偏っている可能性を示唆しており、何らかの強い買い材料によって価格が節目を上抜けた場合、ショートカバーが連鎖的に発生する余地は残されている。
テクニカル面では、現在のBTCドルは長期トレンドの分岐点として意識されやすい200日移動平均線付近まで回復している。同線は中長期的なトレンド判断において重要な水準として機能しやすく、相場が同線の上下どちらに位置するかで投資家心理も大きく変化しやすい。
従って、BTCが200日移動平均線の明確な上抜けに成功した場合、単なる自律反発ではなく、下落トレンドから上昇トレンドへの転換シグナルとして意識される可能性が高い。その場合、ショートポジションの巻き戻しも相俟って、相場が一段高へ向かうシナリオには一定の現実味があると言えよう。

5月のBTC見通し
中東情勢は引き続き市場のボラティリティ要因として意識されるものの、現時点では全面戦争へ発展する可能性は限定的とみている。イラン側も対米強硬姿勢を維持しつつ、実際には交渉継続を通じた停戦長期化を模索しているとみられ、相場全体としては地政学リスクを一定程度織り込みながらも、底堅さを維持しやすい地合いにあると言えよう。
加えて、米国では暗号資産市場の包括的規制整備を目指す「クラリティ法案」が前進していることも支援材料となっている。直近では、法案審議の最大の争点の一つとなっていたステーブルコイン利回り規制を巡り、超党派で妥協案がまとまりつつあり、5月14日にも上院銀行委員会で関連審議が進展する可能性が報じられている。市場では、法案成立によって機関投資家資金の流入拡大や米国市場の制度的整備が進むとの期待も強まっている。
こうした中、テクニカル面では200日移動平均線の攻防が引き続き最大の焦点となろう。同線の明確な突破に成功すれば、長らく続いてきた下落トレンド終息のシグナルとして市場参加者に意識される可能性が高い。
さらに、先物市場では依然としてショートポジションの偏りが残存しているとみられることから、200日線突破と同時にショートスクイーズが発生すれば、BTCが9万ドル台回復を試す展開も視野に入る。一方、200日線突破に失敗した場合には、利益確定売りや失望売りが強まり、上値を重くするシナリオも想定されるため、5月相場は中長期トレンド転換を占う重要局面と言えよう。












