Bitcoin Monthly Report:値動きは冴えない一方、デリバティブ、オンチェーンでは売り枯渇示唆
ビットコイン週足

- 先週の週末は3.8%上昇し3週ぶり陽線を記録した。現在は280万円近辺で取引されている。週足は約2ヶ月間の平均となる8EMAを下回って推移している。今週は現在のところ小幅に下落しており、まだ上値が重い様子が伺える。
- 長期では下落のトレンドラインが維持され、弱気なチャートが形成されている。足元では330万円近辺に強いレンジスタンスが存在する。現在は間近最安値250万円でサポートされているが、このままレジスタンスを超えられないとサポートを割り込む危険性が増すだろう。全体としてまだ弱気トレンドを脱することはできていない。
デリバティブ市場
未決済建玉数

- 先物市場の未決済建玉は上昇傾向にある。USDTなどの現金を裏付けにするキャッシュマージンと、ビットコインを裏付けにするBTCマージンは共に上昇している。ここ3ヶ月近く価格はレンジで推移しているが、未決済建玉は溜まり続けている。共に今年の最高値を更新しており、価格がレンジを抜けるとロスカットを巻き込んで値動きが荒くなる可能性が高いことを示している。
先物価格乖離

- 先物価格と現物価格の乖離率はここ6ヶ月間の最低水準で推移している。足元では一時マイナスまで下落しており、先物市場はかなり弱気シナリオを織り込んでいる。glassnodeのデータでは乖離率がマイナスを記録したのは初めてで、かなりレアな相場環境となっている。投機熱は冷めている状態を示しており、価格の大きな下落は想定しづらい状況だ。
オプション取引

- オプション取引のプットオプションとコールオプションの比率は、足元でプットオプションが上昇していることを示している。ビットコインの値動きが冴えないため、価格の下落リスクをヘッジする動きが増えているようだ。7月には、コールオプションに対して50%まで下落したプットオプションだが、現在は55%を超えている。こちらも先物取引同様に弱気なトレーダーが増加していることを示している。
オンチェーン・データ
取引所保有BTC変化

- 上記の指標は取引所のビットコイン保有変化の推移を表したものだ。取引所の保有は、3月以降、概ねマイナスで推移している。取引所からビットコインが流出していることを示しており、多くのユーザーが保有数を増やしていることがわかる。6月に価格が400万円から300万円を割り込む直前に大きく上昇しているが、それ以降はマイナスの推移が続いている。現在もマイナスで推移しているが、足元で上昇しており再度上値が重い展開に注意だ。
リアライズドP/L

- リアライズドProfit/Lossは、ビットコインの送金された時点の損益を時系列で表している。足元で同指標は、小幅なマイナスで推移している。小さな損失を確定する動きが見られる。6月には42億ドルのマイナスとなっており、この時はかなり大きな損失を出した投資家が多くいたと推測される。6月のマイナスはここ2年間の最低値となっており、短期的な投資家はすでに市場を去ったと考えられる。
長期保有者損失推移

- ビットコインの長期保有者のアドレスの損失額は史上最高値を記録している。現在、長期保有者全体として52億ドルの含み損を計上している状態だ。これは2020年3月のコロナショック時以来の水準となっている。ヒストリカルでは50億ドルの損失を出した時期に下落相場が底打ちしており、市場の総悲観を表すカピチュレーションが起きたことを示唆している。
まとめ
- ビットコインの週足は、依然として高値を切り下げるチャートを形成しています。まだ全体として弱い相場を示している。
- デリバティブ市場では未決済建玉が増加しており、今後のボラティリティの上昇に注意したい。値動き自体は弱い一方、デリバティブ市場では弱気シナリオをかなり織り込んでおり、ある程度の売りの一巡が確認された。
- オンチェーンデータでは、足元で取引所保有が上昇傾向にあり注意だ。他の指標では、すでに多くの投資家が損切りを行っていることも示されており、デリバティブ市場同様にこちらでも売りの枯渇が近いことを示唆している。










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