期待インフレ低下でもBTC反発? 今年もあのイベントが戻ってきた
先週のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比34,828円(0.61%)安の5,693,627円と小幅に反落。上下に長いヒゲを付け、高値圏で揉み合う様子が見られた。
45,000ドル近辺(550万円周辺)の中期レジスタンスの上抜けに成功し、踏み上げ相場で始まった先週のBTC対円は、対ドルで200日移動平均線が走る水準で上値を抑えられるも、47,000ドル水準となる580万円をサポートに底堅く推移したが、原油価格低下に伴う期待インフレ率の反落やRonin Brigdeへのハッキングで上値を重くすると、外国為替市場でのドル安円高を背景に相場のサポートとなっていた47,000ドル水準が切り下がり570万円まで押した。
週央からは、2月の米個人消費支出(PCE)発表を前に同水準で様子見ムードが広がったが、結果が前回の6.0%から6.4%と上振れると、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策引き締めペースを速めるとの思惑や、期待インフレ率の更なる低下を受けてBTCは570万円のサポートを割り込むと、追い討ちをかけるように欧州経済金融委員会(ECON)と市民的自由・司法・内務委員会(LIBE)が個人ウォレット規制強化案を投票で可決し、560万円をも割り込んだ。
1日には、中期レジスタンスとなっていた550万円を割り込むも、押し目買いの様相で反発。この日発表された3月の米雇用統計では、失業率が3.6%と市場予想の3.7%を下回り、非農業部門の雇用者も堅調な伸びを示したことでFRBの引き締め加速観測がより強くなったものの、BTCは上値を追う展開に転じ570万円を回復。週末には、Ark 21 SharesのBTC現物上場投資信託(ETF)が米証券取引委員会(SEC)に上場否決され、47,000ドル水準となる576万円周辺で上値を抑えられたが、560万円がサポートとなり、底堅い推移を維持した。


先週のBTCは、米国の期待インフレ率(BEI)の低下に追随する格好で反落したが、好調だった金曜日の米雇用統計を受けてBEIが一段と低下し、米株先も安値を広げる中、意外にも反発を演じた。この日は雇用統計の発表直後から米2年債の利回りが、FRBによる引き締め加速の思惑から急上昇し、10年債利回りを上回る「逆イールド」が起きていた。一時的な逆イールドはそれまでも指摘されていたが、1日の米時間で逆転は加速し、30年債の利回りとほぼ同水準まで2年債利回りが上昇した。さらに、この日は利回りの差が縮まることなく、逆転した状態のままで週末を迎えた。
逆イールドは市場が景気後退を織り込んでいるサインとして知られているが、物価上昇が景気に与える影響、引いては金融の引き締めがビジネスに与える影響が懸念されている訳か。1日には米供給管理協会(ISM)のレポートも発表され、製造業景気指数は低下、物価指数が22カ月連続で上昇したことがわかった。ウクライナ危機では「有事の安全資産」として良い成績を残せてないビットコインだが、経済大国で暗号資産(仮想通貨)先進国である米国でスタグフレーション(景気後退と物価上昇)が起きれば、伸び代は相応にありそうだ。

さて、今週は久しぶりにビットコインに関するイベントがある。毎年恒例となったbitcoinカンファレンスの2022年版だ(6日〜9日)。同カンファレンスは、エルサルバドルのナイブ・ブケレ大統領が昨年ビデオ出演しビットコインの法定通貨化の意向を発表した場であり、今年も特大材料が出るか大変注目である。カンファレンス初日は、米連邦公開市場委員会(FOMC)3月会合の議事要旨公開日と重なるため、結果によってはお祭りムードに水を差される可能性もあるが、カンファレンスは週末9日まで続くため、豊富な材料が期待できるか。
テクニカル的にも45,000ドル(≒550万円)エリアのレジスタンスがサポートに転じたことが確認され、移動平均線は「収斂→拡散」、一目均衡表では「三役揃い踏み」と強気のサインが維持されており、調整を経て直近高値を更新するシナリオが視野に入る。



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bitbank Report 2022/04/04:期待インフレ低下でもBTC反発? 今年もあのイベントが戻ってきた










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