上げ幅を吐き出したBTC ルーブル続落も反発ならず
先週(2月28日〜3月6日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比55,326円(1.27%)高の4,418,583円。一時は節目の500万円を回復し523万円の高値をつけるも、週後半にかけて反落し上げ幅の殆どを吐き出す展開となった。
バイデン米政権がロシア中銀との取引停止と資産凍結を発表したことで、ルーブル防衛失敗による暗号資産(仮想通貨)への資金流入が想起され、BTCは28日、米市場寄付き前に440万円周辺から急伸し、対ドルで節目40,000ドルとなる460万円の上抜けに成功。この日行われたロシア・ウクライナの第1回目停戦協議は、目星い成果こそなかったものの次回協議の余地を残して終わったことが安心感に繋がり、BTC相場は一気に500万円まで上値を伸ばす展開を繰り広げた。
1日の相場は、米株の下落が重石となり上値トライに失敗するも、欧州の包括的仮想通貨規制方針となる「MiCA」の草案から、PoWコンセンサスアルゴリズム仮想通貨を禁止する文言が削除されたこともあり、500万円台を維持した。しかし、2日から行われたパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言で、仮想通貨を駆使したロシアによる制裁逃れが指摘され、議長自らも仮想通貨規制の必要性を議会に訴えたことで、BTC相場は対ドル45,000ドルとなる520万円水準で上値を重くすると、クリーブランド地区連銀目スター総裁が3日、ウクライナ情勢悪化によるエネルギー価格上昇とそれに伴う高インフレ持続を懸念し金融政策引き締め加速を支持したことで、相場は500万円を割り込んだ。
さらに、4日の東京市場には、ロシア軍による烏ザポロジエ原子力発電所の砲撃で火災が発生したとの報道があり、BTCは株式市場のリスクオフが波及する形で480万円を割り込んだ。ザポロジエ原発の火災は、その後鎮火されたと伝わり相場は下げ止まるも、この日の米雇用統計が市場予想を上回ると、金融引き締め加速への懸念から相場は米株と連動して下落、1時間足の200本移動平均線を割り込むとさらに売りが膨らみ、40,000ドル水準となる460万円の維持に失敗した。
週末5日の相場は39,000ドル水準となる448万円で下げ渋り、6日には38,000ドル水準となる440万円割れをトライするも反発。しかし、7日朝方に欧米がロシア産原油輸入停止を検討していると伝わると原油価格が急騰、それに伴い米株先や日経平均株価が急落し、BTCも再び下値をトライしに行っている。


市場が50ベーシスポイント(bp)利上げを織り込み始めた最中、ロシア軍によるウクライナへの軍事攻撃が始まり、FRBが引き締めペースを緩めるのではという思惑が働いており、先週はパウエルFRB議長も議会証言で、今月のFOMC会合で25ベーシスポイント(bp)利上げを支持すると示した。ただ、3月米連邦公開市場委員会(FOMC)会合が来週(15日〜16日)に迫る中、1月の個人消費支出(PCE)と2月雇用統計の結果が出て、こうした楽観もやや後退し始めた印象を受ける。PCEは1月、前月比で2.1%上昇しており、前年同月比でも6.1%上昇と物価上昇ペースに落ち着きは見えてこない。また、金曜日の雇用統計では失業率の4.0%から3.8%への低下、平均時給が1月からほぼ変化なしという結果が出ており、当局者からすれば政策引き締めペースを加速させる口実ができたとも言える(第2図)。

今週10日には、欧州中央銀行(ECB)の中銀預金金利発表を控えており、ウクライナ情勢悪化を受けてもECBが緩和維持するか注目される。さらに同日には、2月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えており、市場では前年同月比で7.9%(前回:7.5%)、前月比で0.8%(前回:0.6%)上昇と、いずれも1月からの加速が見込まれている。ECBからタカ派的なサプライズがあり、米CPIが前回から上振れとなれば、FRBの政策舵取りに影響を与えるだろう。
ウクライナ情勢を巡っても、プーチン露大統領が週末に、停戦条件にウクライナ東部の親ロシア派2地域領土を、それぞれの州全体と認めるよう追加要求してきており、一歩も後に引く気配はうかがえない。先週は45,000ドル上抜けにトライしたBTCだが、金曜日のドルルーブル続伸(ルーブル続落)をもってしても相場は軟調推移となっており、買いを入れる手掛かりが乏しい状況と言えよう。
相場は、1月から45,000ドルを背に安値を切り上げるアセンディングトライアングルを形成しているが、38,000ドルを日足で割り込めばトライアングル下辺(第3図内青線)を目指すか。保ち合い下放れとなれば、下降トレンド再開が視野に入る。














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