BTCはトレンドラインを上抜け トランプ就任で歴史的な一日となるか
13日〜19日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比95万5106円(6.39%)高の1590万2955円と反発した。
トランプトレードと米国のインフレ指標の下振れを受けて週初の下落から切り返したBTC円は、週央に1500万円台中盤で足踏み状態となるも、17日には再びトランプトレードで1600万円を試すと、米国時間に暗号資産(仮想通貨)業界関係者を招いて開かれたトランプ氏主催の「Crypto Ball(仮想通貨パーティー)」を切っ掛けに更に上値を伸ばし、1600万円台中盤まで上昇した。
このパーティでトランプ氏は自身をモチーフにしたミームコインTRUMPを発表。同コインがソラナ上で発行されたこともあり、SOLが週末に上昇すると、その他の銘柄も上昇し、週末のBTCは小確りと推移し、今朝方には史上最高値の1650万円に肉薄した。
一方、シカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物の取引が再開される直前に利食いが入り、相場はロングの投げを伴って1564万円周辺まで急落。週足終値は1600万円の回復には失敗し、1590万2955円となった。
ドル建てBTC相場は、17日に史上最高値と今月7日高値を基点とする下降トレンドラインのブレイクに成功。今朝方の下げでレジサポ転換を確認しており、目先では押し目買いで反発が見込まれる(第2図内青線)。また、円建てでも一目均衡表の三役好天を示現するなど、テクニカル的な環境は幾分改善したと言えよう。
さて、本日はいよいよドナルド・トランプ氏の米大統領就任式が控えている(25時〜)。先週の報道によると、トランプ氏は仮想通貨を国家戦略の優先事項に位置付ける可能性があり、就任初日に仮想通貨に関するどういった大統領令が発令されるかが市場で注目されている。
こうした中、昨年の米大統領選で注目を浴びた予測市場では、トランプ氏が戦略的ビットコイン備蓄(SBR)を創設するオッズが先週から急上昇しており、ポリマーケットでは就任100日以内の創設が月初の26%から一時44%に上昇、カルシーでは年内の創設が40%から一時68%まで上昇した。
しかし、大統領令を駆使してもBTCの購入は安全保障や予算捻出などの面でハードルが高いと指摘される。そもそも、大統領令は議会の反対や裁判所の判断で覆される可能性もある。市場では、シンシア・ルミス米共和党上院議員が提出したSBRの運用方法を記したビットコイン法案も注目されているが、本法案では米連邦準備理事会(FRB)が保有する金本位体制時代の旧兌換紙幣を売却した利益や、FRBの余剰資金上限を引き下げてBTCの購入予算を確保することとなっており、実現には連邦準備法の改正が必要となる。
ただ、上述の通り、いくら大統領令でも覆される可能性はあるが、トランプ氏の性格から言って大胆な決定を打ち出してくる可能性もあると言え、SBRの創設を独断で決定してもおかしくはないとみている。米国がSBR創設に向けて動けば、他国でも同様の動きが加速し、国家間のBTC争奪戦に発展すると指摘され、ビットコインにとって今夜は歴史的な一日となるか。
ドル建てでは節目の10万ドルを巡って揉み合いが続いているBTCだが、先週からオプション市場のデリビットではアップサイドを意識した取組が続いており、相場がブレイクアウトに成功すれば、現在、デリビットで最大ピンとなる12万ドル周辺(≒1872万円)が上値のターゲットとなるだろう。
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bitbank Report 2025/01/20:BTCはトレンドラインを上抜け トランプ就任で歴史的な一日となるか