BTC下落も採掘難易度また上昇 損益分岐点を気にするにはまだ早いか?

17日のビットコイン(BTC)対円相場は403.693円(7.97%)安の4,662,730円と二日続落。対ドルでは、心理的節目の40,000ドル近辺まで下げ足を早めた。
週前半には、一部ロシア兵のウクライナ国境付近からの撤退の報道や、ツイッターのETH投げ銭機能追加、さらには米連邦公開市場委員会(FOMC)1月会合の議事要旨でネガティブなサプライズがなかったことで、500万円台を維持したBTC相場だったが、昨日は一転してロシア軍の国境沿い増兵が明らかになり、東京時間にはウクライナ軍が同国東部で砲撃したとのロシアメディアの報道が相場の重石となり、BTCは500万円割れを試す展開となった。
欧州時間に入ると、欧州株の株の下落を受けて相場は一層に上値を重くし500万円を割り込み、対ドルで節目43,000ドル水準となる496万円割れをうかがった。米時間には、米主要3指数が安寄りするのを眺め、相場は480万円台前半まで下落、ブリンケン米国務長官が、ロシアはウクライナへの攻撃を「数日以内」に始める準備しているとの発言が米株の下落に更に拍車を掛け、BTCは節目40,000ドル水準となる460万円近辺まで下値を広げた。


BTC相場は、40,000ドル割れの他、1月中旬のレンジ下限(458.5万円)にも迫っており、同水準を割り込めば今月の上げ幅を掻き消すシナリオが視野に入る。足元、相場は4時間足の200本移動平均線で下げ止まっているが、ウクライナ情勢が更に悪化し欧米州株のリスクオフが続けば、これらのサポートを割り込む可能性があるだろう。来週には、バイデン大統領が暗号資産(仮想通貨)の監視・規制について幅広い政府機関に研究を求める大統領令を発動するとも報じられており、仮想通貨市場にとっては懸念材料がのしかかる。
こうした中、ビットコインの採掘難易度を示すディフィカルティは4.78%の上方調整。今回のサイクルでは、ハッシュレートは日次平均で200 Ehash/s台と記録的高水準を維持し始めており、マイニング競争が激化している。電気料金によってコストは変わるが、Antiminer S19での損益分岐点は1BTC=230万円前後となっており(BTC.com調べ)、最新の機種を運用していれば十分に利益がでる状況ではあるが、競争激化による採掘コスト上昇は、小中規模マイナーにとっては痛手となりそうだ。相場低迷とハッシュレートの上昇が長期化すれば、実需筋の売り圧力も懸念されるため、引き続きマイナーアドレス動向には注意したい。
上述の通り、ビットコインの対円相場は、1月中旬レンジ下限(458.5万円)、40,000万ドル水準(≒460万円)、4時間足200本移動平均線(463.4万円)、さらには日足一目均衡表の雲下限(452万円)とテクニカル的なサポートが密集するエリアで下げ止まっている。ウクライナ情勢を巡りとても楽観できる環境ではないが、武力行使に向けての進展がなければ足元の水準で底堅さを発揮してもおかしくない。上値余地はそれほどないだろうが、目先は一旦下げ止まりか。

第2図:BTC対円、先物資金調達率、ハッシュレートとディフィカルティチャート 日次 出所:bitbank.cc、Glassnodeより作成


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bitbank Report 2022/02/18:BTC採掘難易度また上昇 損益分岐点を気にするにはまだ早いか?