強めの雇用統計でもBTC反発 難易度大幅低下後の相場はどうなるか
6月最終週(28日〜7月4日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比84,263円(2.19%)高の3,923,666円と反発し、前週の下げ幅を奪回した。
先週は、30日のADP雇用レポートや7月1日の米新規失業保険申請件数の改善により、2日発表の雇用統計が警戒され、ビットコインは節目400万円に戻すも週央から失速し365万円まで押した。一方、雇用統計の結果は、非農業部雇用者数が5月の55.9万人から85万人と改善した一方で失業率が5.8%から5.9%に悪化し、米連邦準備制度理事会(FRB)が性急な金融政策の正常化に踏み込まないという観測が安心感に繋がり、ビットコインの対円相場は雇用統計の発表を機に反発。週末には待ちに待ったビットコインマイニング難易度(ディフィカルティ)の大幅下方調整が入り、相場は下げ幅を縮小したが、対ドルで節目36,000ドルにタッチすると戻り売りが入り、足元、2日の上昇から半値押し水準で取引されている。

7月3日のディフィカルティ調整でビットコインマイニングのディフィカルティは、-27.94%と過去最大の易化となり、昨年のビットコイン半減期後の水準まで低くなった。ディフィカルティの大幅な低下はハッシュレートの大幅な低下が要因となるため、一見実需の後退が連想されやすいが、ディフィカルティが低下することでマイニングの損益分岐点が低下するため、マイニング参加・再開への障壁は低くなりハッシュレートは安定しやすくなる。
18年末の「ハッシュ闘争」や20年の「コロナショック」といった相場、ハッシュレート、ディフィカルティの低下が見られた後は、ディフィカルティ低下によるハッシュレートの底打ちが相場反転の先行指標となっていたため、この先は中国から国外に退避したマイナーの活動が再開するのを確認したい。反対に、ハッシュレートの回復が確認されるまで相場は底堅くも上値の重い展開が予想される。
雇用統計の週を無事に通過したビットコインだが、今週は7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)6月会合の議事要旨公開がある。FOMCは6月の会合で明確に量的緩和の段階的縮小(テーパリング)の開始時期について議論を始めており、テーパリング開始の条件についてヒントが得られるか否か注目したい。
ただ、テーパリング自体はいずれ開始されることが既に織り込まれていると指摘されるため、FOMC議事要旨がタカ派的なサプライズとなってもビットコイン相場でクラッシュが起きるほどのインパクトはないかと見ている。また、直近の出来高が低下基調になっていることも鑑みるに、ビットコインはしばらく低いボラティリティが続くと指摘され、今週も上値は限定的かもしれないが直近安値の320万円は維持すると予想する。





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bitbank Report 2021/07/05:強めの雇用統計でもBTC反発 難易度大幅低下後の相場はどうなるか










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