急反発から失速のビットコイン 安値圏レンジからいつ抜け出せるか?
11日のビットコイン(BTC)対円相場は81,234円(1.98%)安の4,022,765円と反落。12.19%上昇した前日の勢いは続かなかったものの、終値で心理的節目の400万円を維持し、対ドルでは36,000ドル台中盤での推移となっている。
アジア時間のビットコインは中国の新疆ウイグル自治区と青海の暗号資産(仮想通貨)マイニング排除を受けたハッシュレートの低下が嫌気されジリ安となり、400万円割れを試す展開。しかし、欧州勢参入後に相場は一時397万円付近まで押すも、バーゼル銀行監督委員会が、銀行による仮想通貨保有に対し最低1,250%の自己資本要件を提案したことが、銀行による仮想通貨保有にGOサインを出したと意識され420万円まで反発。その後は戻り売りが入るも、5月の米消費者物価指数(CPI)がまたも市場予想を上回り底堅く推移した。
一方、米株がこの日の高値から反落するとビットコインも連れ安。主要3指数はその後反発し、S&P総合500種指数は史上最高値で引けたが、ビットコインはアルトコインの売りやコインベース株の下落に連れる形となり引けにかけて欧州時間の上げ幅を完全に吐き出し392.5万円まで押した。足元では、対ドルで節目36,000ドルで押し目買いが入り402万円付近での推移となっている。

米長期金利の低下を鑑みるに、「今年の物価上昇は一時的」という米連邦準備理事会(FRB)の見解を市場はある程度信頼している模様だ。これは現行の緩和政策が長期化することが見込まれていることの裏返しとなるが、テーパリング開始時期が少なからず議題に上がる中で来週の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合後にもこうした観測が維持されるだろうか。3月に経済見通し(Economic Projection)が発表されて以来、米国の失業率は6.0%から5.8%と僅かながら改善したが、当局が本年末の目標とする4.5%からは程遠く、政策据え置きが見込まれるものの、夏のカンザスシティ地区連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール)や、来年2月までとなるパウエルFRB議長の任期も着々と迫る中で政策正常化の地ならしをしてくる可能性は高そうだ。
エルサルバドルのビットコイン法定通貨化の相場への影響はかなりあなどっていたが、ビットコインの対円相場は一昨日の上昇をもってしても1時間足の200本移動平均線周辺の水準に戻したにすぎず、チャート上では330万円〜460万円の安値圏レンジ中盤での推移が続いている。中南米諸国でビットコインに関心を示す政治家が散見されるが、当方では中国規制動向を消化し切るまで相場の完全回復は難しいとみている。四川省と雲南省が残る主要中華マイニングハブとなっているが、四川省も9月以降マイニングが禁止される可能性も浮上しており、ハッシュレートが安定推移に戻るまでまだ時間がかかりそうだ。





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bitbank Report 2021/06/11:急反発から失速のビットコイン 安値圏レンジからいつ抜け出せるか?










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