今週の値動き
- 今週の始値は285万円近辺から取引が始まりました。週始めの2日間は底堅い値動きとなり、先週の高値293万円まで上昇しました。しかしこれが綺麗なレジスタンスとなり、週後半は売られる展開となりました。価格は一時始値まで下落する場面がありましたが、現在は小幅に上昇しています。
- 現在の価格は24時間移動平均線の24EMAを小幅に下回った水準で推移しています。上値が重かった相場は、足元で底堅さを取り戻し4週連続の陽線を記録する可能性が高まっています。今週はドル円相場が1ドル=150円を突破したこともあり、円建てビットコインは上昇しています。今後も円安が進むなら円建てビットコインも底堅い推移が期待されます。
今週のデリバティブ市場
1.無期限先物取引の資金調達率
- 今週の資金調達率はプラスで推移する傾向が見られます。現在は0.006%程度で推移しています。ロングポジションが多いことを示していますが、資金調達率はそこまで高いとは言えず、投機的なポジションの偏りはない状況です。相場が大きく動いていないため、ロングポジション・ショートポジションどちらのポジションも取りづらい相場であることが示されています。
2.ロング・ショート清算
- 今週は価格が大きく動かなかったため、ロングポジション・ショートポジション共に目立った清算はありませんでした。ロングポジションでは300万ドル程度の清算がありましたが、先週のような1000万ドルを超えるような清算はありませんでした。清算額はかなり少なくなり、相場がスクイーズ状態にあることがわかります。
3.先物価格乖離（3ヶ月）
- 3ヶ月先の先物取引価格と現物価格の乖離率は今週、プラス圏を回復しました。先週価格が275万円を割り込んだ際に乖離率は一時マイナス圏に沈む時がありましたが、今週はプラス圏で取引されています。現在は0.7%程度で推移しており、プラス圏ではあるものの大きく上に乖離しているわけではありません。こちらでも投機的なポジションは取られておらず、相場がニュートラルな状態であることが示唆されました。
今週のオンチェーン
1.取引所保有のBTC推移
- 取引所の保有BTCは引き続き減少傾向にあります。ここ1か月間ほど明確にユーザーが取引所からビットコインを引き出す動きが見られます。足元の1か月間で約10万BTCほど取引所から現物が流出しています。流出には長期的に保有するためにユーザー自身のウォレットに送金しているモノもあると推測され、ユーザーの積立が進んでいます。取引所からの流出は売り圧力の減少も示唆しています。
2.含み益アドレス割合
- ビットコインの含み益アドレス割合は足元で55%程度で推移しています。今週一時52%台まで下落しましたが、足元で小幅に上昇しています。一方、大局的には大きく動いておらず、50%台のレンジで推移しています。ヒストリカルでは50%台は下落トレンドの底になる傾向があり、かなり投資家の入れ替えが行われたと考えられます。現在の水準からは、よほどの相場環境の悪化が起こらない限り大量の売りは出てこないと予想されます。
まとめ
- 今週のビットコインは小幅な値動きながら僅かに上昇しています。円安を追い風に底堅い推移が予想されます。
- デリバティブ市場では、値動きがレンジで推移していることもあり大きなポジションの偏りがない状態です。投機筋は現在のレンジのブレイクが来るのを待っている状態で、ニュートラルな相場環境が示されています。
- オンチェーンでは引き続き長期保有者がビットコインを積み立てている様子が示唆されました。取引所保有BTCが減少傾向にあることは値動きにとってプラスに働く可能性があります。長期の底入れが近いことが示唆されています。
この記事の著者
マーケット・アナリスト
真田 雅幸
米国の大学で経済学を専攻しお金の流れについて興味を持つ。在学中にビットコインに興味を持ち、bitbankのメディアで寄稿を行う。2015年頃からビットコインのトレードを始め、デリバティブ情報も分析しながらトレードを行う。
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