半減期サイクルから相場を占う、来年に半減期を予定している今年のビットコインはどうなる?

ビットコインには「半減期」と呼ばれるマイニング報酬が半分になるイベントがプログラムされています。半減期は約4年に一度行われるようになっており、半減期が来るたびに新規の供給が減少します。最近の半減期は2020年5月に行われました。次回の半減期は2024年の春頃を予定しています。最初の半減期は誕生から約4年後の2012年に行われました。半減期は21万ブロック毎に行われる事が決められており、ハッシュレートの動向により半減期の日時は変化します。ハッシュレートが安定的に上昇していると、半減期は4年より短くなります。
ビットコインが誕生した2009年からの半減期のヒストリカルデータは以下になります。

来年予定されている半減期後にはマイニング報酬は3.23BTCとなります。ビットコインは半減期毎に供給量が制限されるため、価格が上昇すると考えられています。半減期は最大供給量である2100万BTCがマイニングされるまで行われます。
ビットコイン相場では半減期による供給制限がかかるため、相場の動きも4年毎に上昇と下落のサイクルがある傾向があります。今回はマイニングの現状から相場の半減期サイクルと呼ばれる相場のクセを調査していきます。
ヒストリカル・マイニングチャート
下記の図は供給量と残りのマイニング可能なBTC割合のチャートになります。

上記の図は供給量と残りのマイニング可能なBTC割合のチャートになります。
これまでにマイニングされたビットコインの量は1926万9750BTCとなります。最大供給量は2100万BTCであるため、すでに約91.7%のビットコインがマイニング済みであると言えます。
上記の図からもわかるように、右肩下がりに推移しているマイニング可能なBTC割合は徐々に0%に近づいています、現在の状態でも残りは僅か9%以下となっており、希少性は徐々に高まりつつあります。
右肩上がりに推移している棒線はビットコインの供給量を示しており、半減期を迎える毎に上昇の角度が下がっていることがわかります。これは半減期毎に供給量が減少していることを示しています。
ビットコインのインフレーション・レート

インフレーションレートは総供給量に対する新規のビットコインの増加量を示します。インフレーション・レートは半減期の影響から時の経過と共に徐々に減少しています。マイナーがマイニングする量を示すハッシュレートが安定していなかった2010年頃は、インフレーション・レートは乱高下する場面がありました。一方、ビットコインの取引が活発化し、マイニングが中国を中心に大規模に事業化されるようになった2012年頃からインフレーション・レートは安定的に減少しています。
2012年頃は、インフレーションレートが30%台で推移していましたが、総供給量の増加と半減期の影響によりほぼ4年毎に同指標は下落しています。2020年以降から現在までのインフレーションレートは2%以下になっています。来年、次の半減期が完了した後は1%以下になることが予想されます。
世界各国でほとんどの中央銀行が政策目標にしている物価上昇の目標高は2%に設定されており、来年にはこの物価目標高をビットコインのインフレーションレートが大きく下回る事が想定されます。物価上昇は法定通貨の価値の下落を意味するため、ビットコインの価格は安定的に上昇する事が予想されます。
ネットリアライズド・プロフィット/ロス

ここからは、ビットコインの上昇トレンドと下落トレンドのサイクルを見ていきます。上記は、ビットコインのブロックチェーン上で送金が行われた際に利益が出ていたかどうかを示す指標です。マイナスは損失が出ている状態を示しています。
上記の図では、2017年以降の最近の相場でプラスが多い時期とマイナスが多い時期が交互にある事がわかります。ビットコインの相場に相場サイクルがあることには一定の信憑性がありそうです。
ビットコインの送金で最も利益が出ていた時期は、2017年と2021年となっています。どちらも半減期が起こった次の年となります。利益が出ている状態の送金が増加しているということは、利益を確定する動きが活性化していることを示唆しています。
逆にマイナスが多い時期は2018年と2022年になります。こちらは半減期から3年後となっています。損失が出ている状態の送金は、損失を確定している動きが増えていることを示しています。
年次データから相場のサイクルを検証
次は、年別のプラスの日数とデイリー変動率を見ていきます。
こちらはfinance.yahoo.comのデータを元に作成しています。過去データの関係上、2015年から始まっています。

上記で最初に注目すべきは、緑の部分です。こちらの2016年、2017年、2020年はいずれも1年間で上昇した日が200日を超えた年です。半減期が行われた年と次の年が特に上昇する日数が多い結果となりました。
赤の部分はデイリーの平均の変動率がマイナスとなった年です。こちらはいずれも半減期から3年目の年となります。最近では昨年が該当し、ビットコイン価格は532万円から217万円まで一年間を通して下げ続ける相場となりました。昨年は米中央銀行の金利の引き上げやFTXの破綻など悪いファンダメンタルが出たことも重なり強く下落する結果となりました。
上記の図では、半減期を中心におよその上昇トレンドと下落トレンドのサイクルが確認されました。ビットコイン価格はほとんどの年でプラスとなっている一方、半減期から3年後はマイナスになりやすい傾向があり今後は特に注意したいところです。
半減期から4年目となる今年はプラスになる事が想定され、すでに価格は38%ほど上昇しています。一方、下落トレンドからのリカバリーフェーズとなるため、レンジで推移する可能性があり、半減期サイクルの観点から最高値を更新するような大きな上昇は想定しづらいでしょう。一方、4回目の半減期となる来年は上昇トレンドに入りやすい時期になるため、最高値の更新を含めた強い値動きに期待したいところです。