大規模システム障害でBTC上昇 週末はトランプ氏から特大発表あるか?
15日〜21日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比1,086,928円(11.29%)高の10,717,676円と大幅続伸し、6月の下げ幅を解消した。
ドイツ政府のBTC売却完了に加え、暗殺未遂事件で勢いづいたトランプ前米大統領の選挙キャンペーンにより、先週のBTC円は週明けから1000万円を回復するも、米株式市場のトランプトレードへのシフト(半導体や大型ITなどのグロース株からエネルギーや金融などのバリュー株への資金シフト)によって、週央からは1050万円周辺で上値を抑えられた。
一方、19日にはクラウドストライクのセキュリティソフトの障害が幅広い業種に影響し、大規模なシステム障害が発生。米国では銀行やATMでもサービスが停止すると、分散型ネットワークで管理されるBTCには買いが入り、相場は1050万円を回復した。
週末の相場は概ね1050万円周辺での取引が続いたが、バイデン米大統領が選挙戦撤退を表明するとBTCは上下に振れた。しかし、同氏が大統領候補としてカマラ・ハリス副大統領を支持すると、BTCは1070万円台中盤まで上昇した。
今週のBTC相場も確りとした推移が続くか。トランプトレードによるナスダック総合の下落が気掛かりとなっていたが、クラウドストライクの大規模障害で米株式市場がさらに弱含む中、BTCは力強さを印象付けた。加えて、大統領選からの撤退を表明したバイデン大統領が後釜にハリス氏を指名すると相場は上昇した。
ハリス氏は2020年の米大統領選の民主党候補者レースでいの一番に撤退していた過去があり、党内からの人望が厚いとは言えない他、副大統領就任後は移民問題で失言や失態が相次ぎ、同氏は左派からの支持が弱い。バイデン大統領の撤退を求める民主党内からの望みが叶えられた訳だが、形勢逆転を狙う民主党にとってハリス氏がベターな候補者とは言えず、むしろトランプ陣営にとっては追い風となった模様だ。
そんなトランプ氏だが、今週27日には米ナッシュビルで開催される「Bitcoin 2024」カンファレンスで登壇する予定だ。ビットコイン支援団体Satoshi Act Fund代表のデニス・ポーター氏によれば、トランプ氏はBitcoin 2024の場でビットコインを米国の戦略的準備金として採用する方針を発表するとのことで、同氏の発言内容が注目される。
ポーター氏の情報の真偽は明らかではないが、トランプ氏は今年5月にビットコインを駆使して米国の債務問題が解決できないかビットコイン・マガジン代表のデビッド・ベイリー氏に質問していた経緯もあり、ビットコインに関わる重大な政策方針を発表するのであればBitcoin 2024以上に最適な舞台はないと言えよう。
他方、今週は米国で現物イーサETFの取引開始が明日23日に迫り、その他にも第二・四半期の米GDP成長率などの一連の四半期経済データや6月の米個人消費支出(PCE)価格指数の発表など材料が目白押しとなっている。
イーサETFに関しては、ビットコインETFの取引開始時と同様にETFに転換されるグレイスケールのイーサ投信からの資金流出に警戒しておきたいが、第二・四半期の米経済は消費、インフレ、労働市場の減速が各月のデータで示されてきており、27日のトランプ氏のスピーチ以前にBTC相場が上値を試す切っ掛けは豊富と言えよう。
足元のBTC対ドルは、5月安値56,500ドルと5月21日高値72,000ドルを基点とする高値レンジ(第2図内青線)の半値64,250ドルの上抜けに成功しており、3月から続く下降チャネル(第2図内紫線)の上限にタッチしている。目先の上値目途としては、高値レンジ上限の72,000ドルや史上最高値の73,835ドルがあるが、週末にトランプ氏がビットコインを戦略的準備金に採用する方針を発表するとなれば、相場は一気に80,000ドル台乗せを試す展開も視野に入る。
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bitbank Report 2024/07/22:大規模システム障害でBTC上昇 週末はトランプ氏から特大発表あるか?