ビットコインETFへの期待復活 保ち合い上放れ後の上値目途は?

6月26日〜7月2日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比46,449円(1.06%)高の4,422,222円と、高値で揉み合いつつも小幅に続伸した。
心理的節目の30,000ドル水準(≒433万円)がBTC相場のサポートとなるなか、米英欧中銀総裁のタカ派的な発言や、堅調な米経済指標が相場の重石となって31,000ドル水準(≒447.8万円)がレジスタンスとなり、底堅くも上値の重い展開が続いた先週のBTCは、金曜日の東京時間にはライトコイン(LTC)とビットコインキャッシュ(BCH)相場の急伸に連れ高で450万円乗せを試すも、買いは続かず、上げ渋る展開を演じた。
この日発表された5月の米個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比で前月の4.3%から3.8%へ鈍化し、コアPCE価格指数も4.7%から4.6%と市場予想(4.7%)を下回る結果となり、米国債利回りが急低下しBTCは再度上値を試した。しかし、直後に米証券取引委員会(SEC)が、昨今提出された現物型ビットコイン上場投資信託(ETF)の申請が不十分だと指摘したとWSJが報じると、BTCは急落を演じ、一時は30,000ドル水準を割り込んだ。
一方、SECの指摘が、取引所価格を参照する暗号資産(仮想通貨)取引所の具体的な社名と、その取引所との監視共有協定(Surveillance Sharing Agreement、SSA)の詳細が不十分だとすることが広まると、SECがビットコインETFの上場申請を否認した訳ではないという安心感から相場は下げ幅を縮小。また、週末の間にウィズダムツリー、インベスコ、バンネック、ギャラクシーとフィデリティの全社が、コインベースを価格参照の取引所としてSSAを結ぶことを加筆し、ETFの上場申請をSECに再提出したことで、現物型ビットコインETF承認への期待感が再び相場の支えになっている。

今週のBTC相場は上値を試す展開が見込まれる。先週は伝統的金融機関(TradFi)による相次ぐ現物型ビットコインETF上場申請の影響が後退し始め、TradFi参入相場に息切れ感も確認されたが、SECが指摘した「不十分」な部分を改良して次々と再申請が提出されたことで、途切れかけたニュースフローも復活した印象がある。
こうしたなかで、5月の米PCE価格指数の伸び鈍化が確認され、マクロ的なマネーフローもBTC相場の味方になっていると言えよう。今週は米雇用統計(7日)の他に前米供給管理協会(ISM)の製造業動向レポート(3日)とサービス業動向レポート(6日)の発表もあり、景気減速のサインが確認されれば、BTC相場には一段と追い風が吹きそうだ。
他方、BTCマイナーから取引所へのBTC送金は、先週、採掘難易度が下方調整された後も活発な状態が続いている。このところ、BTC相場は31,000ドル水準がレジスタンスとなっているが、今週も実需筋の売り圧力が懸念されるなか、同水準を終値でブレイクできるかが焦点となろう。
テクニカル分析のパターンフォーメーションでは、相場が保ち合いからブレイクアウトした後は、相場が方向感を失う直前の値幅と同等幅で動きやすいと言われている。BTC相場は足元の30,000ドルから31,000ドルレンジに入る直前に、27,000ドルから4,000ドル程出来高の増加を伴って急上昇しており、今回、31,000ドル乗せに成功すれば、35,000ドルが上値目途となりそうだ。




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bitbank Report 2023/07/03:ビットコインETFへの期待復活 保ち合い上放れ後の上値目途は?