悪材料続くもBTCは高値揉み合い 今週も底堅さ続くか
20日〜26日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比46,121円(1.24%)安の3,672,618円と小幅に反落した。
イエレン米財務長官による銀行預金の保証上限引き上げを否定する発言や、年内利下げ開始を否定する内容となった米連邦公開市場委員会(FOMC)により、一時は380万円台から350万円台前半まで急反落したBTCだったが、イエレン財務長官が「必要であれば追加で預金保護の措置を取る準備がある」と後に発言したことで、370万円周辺まで値を戻した。
一方、週末に差し掛かると、欧州を中心に金融危機懸念が再燃しドイツ銀行やUBSの株価が暴落。ナスダックが暗号資産(仮想通貨)保管業を近く開始するとの報道もあったが、米証券取引委員会(SEC)による業界の取り締まりも強化される中、24日のBTCは欧州時間から上値を重くし、再び350万円台まで押し返された。
一方、週末には、今月ハッキングの被害に見舞われたDe-FiプロトコルのEuler Financeに、ハッカーから一部資金の返還があり、EULトークンが急騰した他、米国政府が連邦準備制度の緊急レンディングファシリティを拡大させ、ファースト・リパブリック・バンク(FRC)に立て直す猶予を与えることを検討しているとブルームバーグから報道され、BTC相場は反発。ドル建てでは終値での28,000ドル死守に失敗したが、高値圏を維持した。

今週のBTC相場も高値揉み合いが続くか。SECが交換業大手のコインベースを標的にしたことや、欧州での金融危機懸念再燃が市場のセンチメントを冷やした格好だが、BTC相場の地合いに大きな変化はなかったと言えよう。こうした背景には、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを近く打ち止め、年内に利下げを開始するという市場の観測があると指摘され、市場はFOMCの見通しを信用していない模様だ。
米政策金利の先行きを巡る市場の楽観思考は年初にも確認され、シリコンバレー・バンクが破綻するまでに時間をかけてよりタカ派的なシナリオに修正がかかっていたが、足元の状況は当時と異なる点が多い。まず、米銀行の預金量が低下し流動性への懸念が高まる現状で、銀行の信用縮小がFRBに代わって住宅需要や企業の事業活動のブレーキになる可能性がある。加えて、昨年のインフレ加速の大きな一因となった原油価格は、銀行破綻による景気減速への懸念が重石となり、指標となるWTI原油先物は先週、およそ2年ぶりの安値を付けており、市場の年内利下げ開始観測は正当化される側面もあると言えよう。
他方、金融危機への懸念から金(ゴールド)や米国債といった「質への逃避」が注目される中、BTCは金との相関、米国債利回りとの逆相関を強める一方、米主要株価3指数との相関を弱めており、逃避的な資金流入も相場の底堅さの一因となっている可能性もある(第2図)。
さて、市場とFOMCの政策金利見通しに乖離があるということは、この先は米経済指標が重要な手掛かりになってくる訳だが、今週発表を控えている住宅関連指標や個人消費支出(PCE)価格指数は、1月や2月のデータを反映しておりラグがあることに注意しておきたい。特に金曜日に発表される2月分のPCE価格指数は、FRBがインフレ指標として注目するデータであり、1月からの加速が確認されれば、BTC相場の重石となろう。





第2表:アルトコイン概況 出所:bitbank.ccより作成







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