PPI上振れで募る警戒感 今月のFOMCのポイントは?

5日〜11日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比33,444円(1.45%)高の2,341,438円と4週続伸したが、相場は230万円周辺で方向感を示せずにいる。
先週発表された米国の新規失業保険申請件数が前週比4,000件増となったことで、BTCは230万円から動意付き、ショートカバーを伴って235万円周辺まで上昇したが、ドル建てで17,300ドルとなる同水準がレジスタンスとなった。9日の相場は、11月米生産者物価指数(PPI)の発表を控え235万円周辺で揉み合いに終始すると、結果が市場予想を上回り、一時的に上値を重くした(予想7.2%→結果7.4%)。
一方、PPIの結果を受けて米国債利回りが上昇すると、外国為替市場ではドル円相場が連れて上昇。ドルに対して円の価値が低下したことで、BTC対円は下げ幅を圧縮され、週末も235万円周辺での推移が続いた。


PPIは月次のコア指数を除いて前回から低下、若しくは横ばいだったが、いずれも市場予想を上回り、市場に警戒感が走った。ただ、BTCは対ドルでもPPI発表直後の下げ幅は限定的だったと言え、ヘッドラインPPIの継続的な大幅低下(10月8.1%→11月7.4%)が歓迎された側面もあったかと指摘される。
とは言え、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース減速の可能性や、四半期毎の経済見通し発表を前に、11月の消費者物価指数(CPI)も控えており、インフレ指標の予想上振れが続けば米連邦公開市場委員会(FOMC)まで市場のムードは好転し難いだろう。本日も東京市場の寄り付きからBTCは上値を重くしており、明日のCPI発表まで警戒ムードが続きそうだ。
こうした市場の警戒感も15日朝方に終了するFOMCの結果に左右されると言えよう。9月から利上げペース調整の議論が始まり、12月は50ベーシスポイント(bp)に利上げ幅が縮小されることが予想されているが、今回の会合ではターミナルレートに関する手掛かりにも注目しておきたい。
9月の経済見通しでは、2023年末の政策金利見通しが3.8%から4.6%に大きく引き上げられていた。当時は積極的な利上げを支持するFRB高官が殆どだったが、11月時点では過半数のFOMC参加者が近いうちに利上げペースを減速させることで合意していたことから、前回ほど大幅な見通し引き上げはないと指摘される。一方、パウエルFRB議長含め一部FRB高官らは、ターミナルレートが5%をやや超える可能性について言及しており、FF金利先物市場もターミナルレートが5.25%に到達することを織り込んでいる。
つまり、今回のFOMCでは利上げ幅も焦点となってくるが、来年末の政策金利着地見通しも重要となり、見通しが市場予想を上回れば、BTC相場には売り圧力が掛かると指摘される。インフレ指標は低下してきているものの、GDP成長率や雇用統計の改善など、足元では経済指標の結果がまちまちとなっており、FOMCの結果が出るまで余計なリスクテークは控えるのが無難だろう。
CPI加速やFOMCでの政策金利見通し大幅引き上げがあれば、BTC相場は17,000ドル(≒232.6万円)周辺の水準を明確に下抜けし、16,000ドル(≒218.9万円)割れを試す展開も視野に入る。同水準の維持にも失敗すれば、相場は年初来安値を試す展開となり、年末にかけての市況は悪化しそうだ。反対に、FOMCの結果が市場予想と合致すれば、BTCは8日安値(17,500ドル≒239.5万円)を回復し、FTXショックで下抜けした中期レンジ下限の回復が視野に入り、テクニカル的なセンチメントが大きく改善することが期待される。


