雇用統計サプライズでBTC反発 アルト物色も後押し
10月31日〜11月6日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比25,092円(0.82%)高の3,076,074円と6週続伸。対ドルでは7週ぶりに21,000ドル台中盤(≒316万円)を一時的に回復した。
予想以上にハト派的だったパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見を受けた米国債利回りの上昇に上値を圧迫されたBTC相場だったが、300万円周辺で下げ渋ると10月の米非製造業購買担当者景気指数(PMI)の低下を切っ掛けに底堅い推移に転じた。
米連邦公開市場委員会(FOMC)翌日には、米証券取引委員会(SEC)との裁判で被告側であるリップル社のガーリングハウスCEOが、同社を支持する法定助言書が通算12通に達したとツイッターで明かしたことが好感され、XRP相場が急伸。BTCもこれに連れ高となり反発すると、10月の米雇用統計で失業率が3.5%から3.7%に悪化したことや、平均時給の上昇率が前月比で鈍化したことでリスクオンムードが広がり、310万円を回復した。
週末のBTC相場は310万円中盤から前半で小動きとなったが、シカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物の取引が再開されると、利益確定の売りが入ったか一時的に上値を重くしている。


9月の米JOLTs求人件数の上昇や、10月のADP雇用レポートでの雇用者数増加により、米労働省が発表する雇用統計への警戒ムードがあったが、市場予想(3.6%)を上回る失業率の悪化がポジティブサプライズとなった。勿論、米経済にとって失業率上昇は通常であれば悪材料となるが、金融政策引き締めペース鈍化議論を進め得る材料となることから、BTCにとっては強材料となった格好だ。また、製造業、住宅市場、物価関連指標が10月から減速兆候を見せる中、労働市場の需給逼迫や賃金上昇率に関してはなかなか改善が見えてこなかったことや、パウエル議長が記者会見でターミナルレートがFOMCの想定を上回る可能性や、政策転換議論について時期尚早と言及した矢先だったため、今回の雇用統計の結果はインパクトが大きかったと言えよう。
加えて、暗号資産(仮想通貨)市場では、イーロン・マスク氏のツイッター買収によるドージコイン(DOGE)相場の上昇や、リップル社の裁判での勝算が大きくなったこと、更にはライトコイン(LTC)の半減期(2023年7月下旬頃)織り込みが始まったことで、アルトコインの物色がにわかに加速しており、BTC相場のボラティリティ上昇にも寄与していると指摘される。マクロ的なムード改善と仮想通貨の循環買いの双方で先週のBTC相場は底堅かったと言えよう。
また、BTCは対ドルで一目均衡表の三役好転を示現しており、テクニカル的なムードの改善も指摘される。底値圏からのブレイクアウトと上昇トレンド突入には、8月高値25,214ドル(≒370.8万円)の終値での上抜けが条件となるが、その前に9月高値の22,800ドルや200日移動平均線(23,868ドル)と言った節目がレジスタンスとして想定され、335.2万円〜351万円エリアをクリアできるかが今週の焦点となりそうだ。目先の下値目途としては、一目均衡表の雲上限(20,500ドル)やオプション建玉が集中する20,000ドルの294万円周辺エリアが挙げられる。同水準にはその他、短・中・長期の移動平均線も密集しており、テクニカル的に強いサポートとなりそうだ。
10日発表の10月米消費者物価指数(CPI)が注目されるが、FOMCを通過したことで今週からはFRB高官の発言も多数予定されている。8日明け方には、早速、クリーブランド連銀のメスター総裁とボストン連銀のコリンズ総裁のスピーチが予定されている。コリンズ総裁は、インフレはピークを迎えた可能性があると過去に発言しており、現在のFOMCメンバーの中では利上げペース減速を支持している可能性が高い一方、メスター総裁はインフレ抑制について「進捗は見えていない」と厳しい発言をしてきており、同氏の発言内容には注意したい。
CPIを巡っては、10月の原油価格反発もあり9月からの顕著な改善は見込めない一方、一部資材や貴金属価格の低下やコンテナ運賃の継続的な低下、加えて製造業支払価格指数の低下から鑑みて、引き続き小幅なインフレ鈍化が見込まれる。ただ、6月でのインフレピークアウト感があるものの、顕著な減速が確認されない状況が直近3ヶ月も続いていることも事実で、CPIの水準が9月から然程変化がなければ市場へのインパクトも先月と比べて幾分薄れる可能性もあるか。










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