高インフレ VS. 政策引き締め 機関投資家から気になる動き
先週(11日〜17日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比220,696円(4.20%)安の5,028,642円と3週続落。対ドルでは5週ぶりに週足終値で節目の40,000ドル(≒507万円)を割り込んだ。
ウクライナ東部でのロシア軍による大規模攻撃再開の可能性が浮上し、先週のBTC対円は530万円から下げ足を速めると、ハト派として知られるシカゴ地区連銀のエバンス総裁が、次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(bp)の利上げを行う可能性に言及し、一時は500万円をも割り込んだ。
しかし、それ以降の相場は、Coinbaseのアルトコイン4銘柄新規上場を契機にアルト主導で下げ止まると、米国の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)の上振れや、原油価格指標のウエストテキサスインターミディエート(WTI)の反発に伴うインフレ高進懸念に支えられた一方、ブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)理事とウイリアムスNY地区連銀総裁らのタカ派発言に上値を抑えられ、495万円から520万円のレンジで底堅くも上値の重い展開を繰り広げた。
15日(金)がグッド・フライデーでNY市場が休場だったこともあり、週末は閑散相場の様相を呈し510万円を挟み込み小動きとなったが、今朝方にシカゴマーケンタイル取引所(CME)のBTC先物が取引を再開すると、先物主導で再び上値を重くしている。


引き続き、相場は40,000ドル水準まで押すと先物の資金調達率がマイナスに振れ、底堅く推移している。資金調達率は需給によって推移するため、マイナスに振れれば一定の売りが出尽くしたシグナルとされる。ただ、機関投資家が参入するCMEのBTC先物市場では、あまり芳しくない動きも確認された。
米商品先物取引委員会(CFTC)が公開する市場参加者の取組高やポジション情報(COTレポート)によると、先週、3月の米CPI発表がされた12日にBTC先物の取組高(Open Interest = OI)が減少している。CMEでの取組高には相場トレンドとの一定の連動性があり、直前までは取組高回復の兆しが見え始めていたが、金融政策引き締め加速懸念で市場から資金を引き上げる機関投資家が増加し始めた格好か。投機筋(ファンド勢 = Leveraged Funds)のネットポジションにも目立った動きは見られず、目先の方向感のヒントは乏しい(第2図)。

こうした傾向は少なくとも5月3〜4日のFOMCまで継続する可能性が高いと言え、相場も明確に方向感を示し難いだろう。ただ、今週は22日未明から世界通貨基金(IMF)のイベントで米英欧中銀総裁の発言を控えており、特にパウエルFRB議長から追加でタカ派的なサプライズがあるか注意を要する。
ただ、米国際利回り、原油価格、金(ゴールド)相場上昇の動きから鑑みるに、インフレヘッジ需要は根強いと指摘され、安値を模索するシナリオでも1〜2月の安値を基点とした上昇チャネルの下限では相場が買い支えられると想定している(第3図)。




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bitbank Report 2022/04/18:高インフレ VS. 政策引き締め 機関投資家から気になる動き










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