わかりやすいリスクオフでも底堅いBTC 現状打破はまだ先か

5日のビットコイン(BTC)対円はジリ高で切り返すも上値は重く、終値ベースではほぼ横ばいとなった。中国当局による景気刺激策で勢いづいた週明けのアジアの株式市場だったが、昨日は中国の8月サービス業購買担当者景気指数(PMI)が下振れとなり、リスクオフムードが台頭。BTCもこれに連れて下げる場面もあったが、ドル円相場の上昇が支えとなり、376.1万円から切り返した。ただ、中国を筆頭に世界的な景気減速を巡る懸念、さらには原油価格の上昇を受け、連休明けの米国債利回りが続伸し、BTCの上値を圧迫。幸い、ドル円相場の更なる上昇が円建てBTC相場の支えとなったが、昨日は全体を通して鈍い値動きに終始した。

第1表:前日のBTC対円四本値と値動き 出所:bitbank.ccより作成

第1図:前日のBTC対円(左、1分足)と直近3カ月のBTC対円(右、日足)チャート 出所:bitbank.ccより作成
米労働市場の逼迫解消を示した金曜日の雇用統計を持ってしても米国債利回りの上昇には歯止めが掛からなかったが、これは多くの米連邦準備制度(FRB)高官が未だに追加利上げの必要性をちらつかせていることで、市場が政策方針転換の糸口を掴めていない証拠だろう。こうした中で本日発表されるS&Pの8月総合PMI確定値と全米供給管理協会(ISM)のサービス業PMIは、前回からやや弱めに出ることが予想されているが、これらを利上げ停止の手掛かりとして市場が素直に受け止めるかにはやや自信がなくなってきた。いずれにせよ、米国の株安、債券安(金利高)、ドル高というわかりやすいリスクオフ環境でもBTCは底堅く、リスクマネーの逃避は既にある程度済んだ後かと指摘される。来週の米消費者物価指数(CPI)の発表までは冴えない動きが続くだろう。

第2図:ビットコインのハッシュレート、ディフィカルティチャート(左)と先物資金調達率(右)チャート 日次 出所:bitbank.cc、Glassnodeより作成

第2表:その他BTC市況データ 出所:bitbank.cc、Glassnode、CoinGeckoより作成

第3表:アルトコイン概況 出所:bitbank.ccより作成
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bitbank Report 2023/09/06:わかりやすいリスクオフでも底堅いBTC 現状打破はまだ先か