今週は現物ビットコインETFの判断期限複数 調整一服のBTCはどうなる?

9日〜15日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比108,286円(2.59%)安の4,064,883円と下落し、今月の上げ幅の殆どを掻き消した。
アルトコイン相場の不調や、BTCがドル建てで一目均衡表の「三役好転」を解消、さらには9月の米卸売物価指数(PPI)が上振れたことで、先週のBTC円は週明けから下値を模索する展開となった。しかし、9月米公開市場委員会(FOMC)議事要旨で米金融政策当局者らが追加的な引き締めに慎重な姿勢を示したことで、相場は400万円周辺で下げ止まった。
12日、9月の米消費者物価指数(CPI)のヘッドライン指数が市場予想比で上振れたが、食品とエネルギーを除いたコア指数が市場予想と合致、複数の米連邦準備理事会(FRB)高官らが追加利上げの必要性に否定的な姿勢を示し始めたこともあって、BTC相場への影響は軽微だった。翌13日には、中東情勢の悪化を背景にリスク資産に向かい風が吹く状況となったが、金(ゴールド)相場の急伸がBTC相場の下支えとなり底堅く推移。すると、グレイスケール・ビットコイン投資信託(GBTC)の上場投資信託(ETF)化を巡って米控訴裁判所が米証券取引委員会(SEC)に否認を無効化し再審査を求めた判断に対し、SECは上告しないとロイターが報じたことで、現物型ビットコインETF承認期待が浮上し、相場は小締まる展開に転じた。

今朝方のBTC相場は、ETF承認の期待感からか、27,000ドル水準となる403.6万円を回復した。
今週は、本日よりビットワイズ、ヴァンエック、ウィズダムツリーやインヴェスコなどの現物型ビットコインETFの第2審査期限を計8件迎えることとなっており、市場のETFに対する関心度も高いと言える(第1表)。SECは今年7月、GBTCのETF化を巡って「詐欺や相場操縦を未然に防ぐ設計がされていない」と否認していたが、米控訴裁判所のネオミ・ラオ判事は8月に委員会の判断は「説明不足」とし、否認判断の無効化と再審査を命じていた。
この度、SECがラオ判事の判断を上告しなかったことで、市場では「これまでのSECの判断延期や否認は根拠不足であり、委員会は現物型ビットコインETFの承認を迫られる」という期待感が広がっていると指摘される。また、12日にはアークがSECに対し現物型ビットコインETF申請の修正を提出し、ブルームバーグのETFアナリストはこれを審査プロセスの「最終段階」とも指摘した。
ただ、アーク以外の申請者はこうした最終調整と思われるSECとのコミュニケーションが確認されず、今回もなし崩し的に判断を延期される可能性はあると言え、週末からの期待感の巻き戻しにも注意したい。

マクロ環境を巡っては、米国のインフレ鈍化ペースにやや懸念が残る部分ものの、CPIでは総合的なエネルギー指数が前月比で伸びの鈍化が確認された他、複数のFRB高官らが長期金利の上昇を背景に利上げ打ち止めの可能性に言及。米アトランタ連銀ボスティック総裁に至っては、「これ以上の利上げは必要ない」とも発言しており、市場では11月の利上げ見送りが確実視されている。
米国の政策金利動向は依然として「データ次第」という状況ではあるが、今週の9月小売売上高、9月住宅着工件数や地区連銀経済報告(ベージュブック)で景気の減速が確認されれば、利上げ終了期待がBTC相場の下支えとなろう。
テクニカル的にもBTCは調整一巡感が指摘され、今週は戻りを試す展開となるか。目先では、ボリンジャーバンドのセンターライン(408万円)や、一目均衡表の基準線(407.7万円)と転換線(408.7万円)が密集する408万円周辺のエリアを上抜けできるかに注目したい。




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bitbank Report 2023/10/16:今週は現物ビットコインETFの判断期限複数 調整一服のBTCはどうなる?