BTCは米CPIを無難に通過 方向感のヒントは依然乏しく

7日〜13日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比121,726円(2.94%)高の4,255,614円。ドル建てでは0.81%高とほぼ横ばいだったが、円建て相場はドル高円安の恩恵を受けた格好だ。
7月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、警戒感から週央に430万円を割ったBTC相場だったが、結果が前年同月比で3.2%と市場予想の3.3%を下回った一方、6月の3.0%から13カ月ぶりに加速し、相場は上下に振れるも元の水準での揉み合いに戻った。翌日に発表された7月の米生産者物価指数(PPI)は、市場予想を上回るも誤差の範囲内となったことから、BTC相場への影響は限定された。
また、この日には米証券取引委員会(SEC)がアークと21シェアーズの現物ビットコイン上場投資信託(ETF)の承認判断を延期し、BTCは僅かに小緩むも、織り込み済みだったからかすぐに買い支えられた。
ボラティリティの落ち着きやすい週末のBTC相場は、概ね426万円台で揉み合いに終始。13日には、元SECインターネット執行局長のジョン・リード・スターク氏がX(旧ツイッター)で、「現在のSECは現物ビットコインETFの上場申請を承認しないだろう」とポストしたが、相場への影響はほぼ皆無だった。

現物ビットコインETF承認の可能性の報道に振り回されつつも、米CPIの結果が今後の米金融政策の大きな手掛かりともならず、BTCは引き続き短中期的に方向感に欠ける展開となっている。先週は中国のデフレリスクや輸出入額大幅下振れと、中国の景気減速懸念が台頭したなか、米国ではクレジットカード債務残高急増に伴う延滞率の上昇が浮き彫りとなり、経済の軟着陸(ソフトランディング)観測に陰りが伺われた。
結果として先週の伝統的金融市場では、米株が下落、米債利回りは上昇、金(ゴールド)は下落(主要な買い手である中国の景気減速観測が重石)と、BTCにとっては不利な環境とも言えたが、相場は想定以上に底堅く推移した。こうした背景には、景気減速によるリスク選好度の萎縮がある一方、金融引き締めの転換期待による相場の下支えもあるかと指摘される。
ただ、いずれにせよBTC相場は今週も方向感に欠ける展開が想定される。米国にとって輸出先第3位と大きな輸出相手国である中国の景気減速は自国経済にも影響を与え得る一方で、インフレ鈍化に歯止めが掛かったことで、米連邦準備理事会(FRB)による追加利上げは再び可能性として浮上したと言え、先行きは読み難い。
今週は中国の7月鉱工業生産指数、小売売上高、失業率の発表が15日に控える他、米国の7月小売売上高も同日に控えているが、FRBの政策方針転換がより具体的に視野に入って来ない限り、BTC相場の停滞は続くか。




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bitbank Report 2023/08/14:BTCは米CPIを無難に通過 方向感のヒントは依然乏しく