BTC週足は下げ幅ほぼ掻き消す ネックラインに密集するテクニカル的節目
先週(21日〜27日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比80,369円(2.05%)安の3,839,403円。週前半には複数中国金融機関が暗号資産(仮想通貨)に関連する取引を一切禁止するとのリリースをだし、一時は3万ドル水準(≒332万円)を割り込み365日線割れを試したビットコインだったが、米早期利上げ観測の後退、追加財政刺激策期待、さらにはパラグアイでのビットコイン法定通貨化の思惑が相場の支援となり、速やかに3万ドル水準を回復し25日には390万円台前半まで戻した。
一方、25日は本邦金融庁がバイナンスに対して2度目の警告を行ったことや、米個人消費支出(PCE)が概ね市場予想と一致し、米国でのインフレ率上昇が米連邦準備理事会(FRB)の描くシナリオ通りに「一過性」であることが示唆され、ビットコインは22日〜24日の上昇幅を掻き消した。
週末26日の相場もハッシュレートの110 Ehash/sから85 Ehash/sへの低下を受けて再び3万ドル割れを試したが、ハッシュレートは底入れが近いとの観測もあり心理的節目で押し目買いが入った。週末はこのほか、イーロン・マスク氏が来月開催予定のビットコインのカンファレンスに登壇意欲を示したことや、メキシコの資産家で経営者のリカルド・サリナス・プリエゴ氏が「法定通貨は詐欺だ」と一蹴し、自身が経営する銀行での仮想通貨取り扱い計画を明かしたことが材料視された。
足元では、CMEのビットコイン先物市場が開くとほぼ同時に買いが入り、相場は380万円半ばでの推移となっている。

27日にもビットコインのハッシュレートは一段と急低下し、61 Ehash/sとなった。これにより、ハッシュレートは4月に付けた最高値の198 Ehash/sから約70%低下したことになる。昨年末時点で中華系マイナーのハッシュレートシェアが65%だったことに鑑みれば(ケンブリッジ大学調べ)、やはりハッシュレートの底入れは近いと推測され、市場も5日後の採掘難易度の大幅下方調整によるネットワーク安定化を織り込んでいると指摘される。
ただ一方で、昨今のバイナンスやバイビットに対する規制強化の動きは、主要海外取引所への資金流入を後退させる効果も見込まれるため、各取引所の対応には注意したい。規制関連の材料は長期的には相場に影響を及ぼしにくいが、短期的には相場に向かい風となりやすい。ネットワーク安定期待と規制懸念により相場は綱引き状態といった格好だが、今週は米雇用統計(7月2日)が発表される週となっており、雇用統計の先行指標ともなるADP雇用レポートが発表される30日からは方向感を示せるか注目したい。
ビットコインの対円相場は先週、短期でダブルボトムを形成し、足元、ネックラインの393万円を試す展開となっているが、予て指摘の通り、390万円〜400万円には13日、21日、34日の短中期移動平均線、一目均衡表の基準線、ボリンジャーバンドのセンターラインといったテクニカルの節目が密集しており、なかなかこのエリアを上抜けできない状況が続いている(第2図)。同エリアの上抜けに成功した場合、ボリンジャーバンドの2σ(452万円)や一目均衡表の雲下限(447万円)が上値目途としてある。





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bitbank Report 2021/06/28:BTC週足は下げ幅ほぼ掻き消す ネックラインに密集するテクニカル的節目










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