19歳にしてイーサリアムを設計した天才的な青年
ヴィタリック・ブテリン氏は、ロシア系カナダ人でイーサリアムの考案者です。ブテリン氏は6歳までロシアで幼少期を過ごし、その後両親の都合でカナダへ移住します。子供の頃から数字に強く他の子供より2倍ほど早く暗算ができたと言われています。カナダの小学校では優秀な子供が受けるギフテッド教育のクラスにも選ばれています。
ブテリン氏は17歳の時、ビットコインに関する情報を父親から聞きます。当初はビットコインは成功しないだろうと考えていたものの、さらに詳しく調べていくうちにビットコインやブロックチェーンの大いなる可能性に気づくようになります。
カナダのウォータールー大学に在学中、ブテリン氏はビットコインについて精力的に研究を行うようになります。さらにビットコイン関連のカンファレンスにも足を運ぶようになります。学校教育の範囲外の研究を行う23歳以下の生徒に送られるティールフェローシップを獲得したブテリン氏は、大学を中退し本格的にイーサリアムの制作を開始します。
イーサリアムの始まり
2013年の後半、ブテリン氏はイーサリアムのアイディアを書いたホワイトペーパーを知人に公開し、レビューしてもらうことにしました。ホワイトペーパーはオンラインでも公開され、30人ほどの開発者からイーサリアムの詳細についての問い合わせがありました。
当初イーサリアムはビットコインと同様の非中央集権のネットワーク上の通貨というコンセプトでした。しかし開発を進めていくうちにブロックチェーンには通貨以外の機能を持たせることができることに気づきます。そしてスマートコントラクトのプラットフォームという現在のイーサリアムのコンセプトに辿り着くことになります。
2014年1月にブテリン氏は、イーサリアムをプロジェクトとして公の場で初めて発表します。他の5名の開発者と共にイーサリアムのネットワークを開発するためのICO(イニシャル・コイン・オファリング)を行います。
ICOはビットコインを活用して行われ最終的に3100BTCを集めました。当時の時価にして約1800万ドルの資金調達に成功します。2015年7月にはイーサリアムの初期バージョンにあたるFrontierをリリースし本格的にソフトウェアの運用がスタートします。
ブテリン氏が考えるイーサリアムとは
ブテリン氏は、スマートコントラクトを走らせるプラットフォームとしてのイーサリアムの未来に関して強い自信を持っています。イーサリアムは暗号資産(仮想通貨)界でスマートコントラクトのプラットフォームとして最も人気があり、多くの開発者がプロジェクトに携わっています。
ブテリン氏はビットコインの欠点が機能の少なさにあるとしています。2019年2月に公開されたBusiness Insiderのインタビュー内でブテリン氏は、ビットコインは電卓でイーサリアムはスマートフォンであると表現しています。イーサリアムの強みはネットワーク上で多くの種類のアプリケーションを開発することができる点にあるとしています。
スマートコントラクトのプラットフォームとしてイーサリアムは、パブリックなブロックチェーンであることに優位性があり、EOSやTRONといった他のプロジェクトは中央集権であるため比較対象にはならないとブテリン氏は考えています。ブテリン氏はイーサリアムを超えることができるのはイーサリアムだけだという発言をしたこともあり、プロジェクトの未来に対し自信を持っています。