年頭所感
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年の世界の暗号資産業界は、一昨年末のFTX破綻の影響により世界的に規制強化の機運が高り、事業者にとっては総じてネガティブなムードが蔓延していた一方で、FTXショックによる過度な価格ディスカウントの修正、米ブラックロックをはじめとした多くの資産運用会社のビットコイン現物ETFの申請、今年に予定される半減期の需給改善期待、などの好材料が重なり、ビットコインにおいては150 %超の大幅な価格上昇が実現する結果となりました。また、我が国の暗号資産業界においては、FTX破綻の影響を最小限に食い止め、結果として我が国の暗号資産統制フレームワークの有効性が証明されたこともあり、世界の規制強化の流れとは逆行し、政官民一体となった産業推進機運が高まる動きが加速したように思います。
このような環境下、当社のサービス面では、世界に先駆けて我が国で施行に至ったトラベルルール対応などの守りの施策はもとより、取引所「bitbank」においては、積極的な取扱銘柄数の拡大(+15 銘柄)、国内初のマルチチェーン対応、即日日本円出金対応、サーキットブレーカー制度開始など、顧客利便性、安全性の拡大施策を中心に多くのリリースを行うことができたほか、カストディ事業の「日本デジタルアセットトラスト設立準備株式会社(JADAT)」ではライセンス取得に向けた準備が進展したこと、初の非金融事業である「FiKNOTS」をローンチしたことなど、より積極的な攻めの施策に重点をおいた取り組みを行いました。
また、社内としては、コロナ禍が沈静化し、多くの企業で従来のオフィスワークへの回帰が見られる中、働き方の高度化と生産性の向上を両立させるべく独自のフルリモートワークスタイルを継続し、適用勤務地のさらなる拡大など、その高度化への取り組みを推進し、加えて、企業型DC(企業型確定拠出年金)の導入、健康優良企業(銀の認定)、くるみん認定の取得などに見られるよう、社員の健康や満足度を向上させる多くの施策を行いました。
これらの活動の成果は、ひとえにお客様、社員、株主、取引先パートナーら、多くのステークホルダーのご理解、ご支援の賜物であり、この場をお借りして改めて深く御礼申し上げます。
当社は2014 年5 月に設立され、おかげさまで今年設立満10 年を迎えます。
企業の10 年存続率は8 %と言われており、そもそも企業を長く存続させること自体が困難なわけですが、私たちの事業領域は高い成長ポテンシャルがある反面、環境変化が大変激しく、一般的な企業よりその存続を困難にしていると思います。
現に昨今、世界最大手クラスの交換業者が破綻、CEO辞任、国内においてもこの10 年間、暗号資産流出事故、廃業(撤退)、会社の身売りなど、激しい環境変化による影響を受けた事業者が多く見られたわけですが、当社は創業以来、一度も流出事故を起こさず、一環とした経営体制を維持することができており、環境変化にうまく適応し、堅実な成長ができている企業であると、年々自信を深めてきております。
今年は10 周年にふさわしい、社の歴史に残るであろう、多くの取り組みを計画しています。
2024 年は次の10 年に向けた新たなスタートの年と位置付け、関わる全てのステークホルダーに今まで以上にご評価いただけるよう、チーム一丸となって邁進していく所存です。
本年も皆様のご繁栄とご多幸を心からお祈り申し上げますとともに、引き続き当社へのご支援、お引き立てを賜りますようお願い申し上げます。