年頭所感
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年の世界の暗号資産業界は、現物ビットコイン/イーサリアムETFの誕生、ビットコイン半減期の到来、米国金融緩和への転換、米国大統領選挙で暗号資産政策推進を掲げたトランプ前大統領が勝利を確実にしたこと、などを背景に、従来個人を中心とした暗号資産市場は、その価格の上昇のみならず、民間企業、機関投資家、強いては国家をも巻き込む形で大きな飛躍を遂げることとなりました。
他方我が国では、同業者の大規模な暗号資産流出という残念な事象があった一方、前述の世界的な暗号資産市場拡大の潮流を踏まえ、従来の資金決済法から金融商品取引法へ、その根拠法の変更を視野に入れた暗号資産の再定義議論が開始され、近い将来、ビットコインETFなどの金融商品の実現、個人の分離課税の実現など、市場拡大への道筋が見え始めました。
このような環境下、主力事業である取引所bitbankにおいては、生体認証ログインサービス、売り買い両面の取引を可能にした信用取引サービスの開始、米ワールドシリーズ優勝に貢献したドジャースの山本投手を起用した創業来初となるTVCMの開始など、多くの大型の取り組みを実現し、これら顧客利便性、安全性の拡充を行った結果、外部調査機関のオリコン顧客満足度®ランキング「暗号資産取引所 現物取引」において、総合第1位の評価を得ることもできました。取引所事業以外では、カストディ事業の日本デジタルアセットトラスト設立準備株式会社(JADAT)のライセンス取得に向けた準備をさらに推し進め、コーポレートベンチャーキャピタルであるBitbank Venturesの設立を行うなど、多様なお客様に向けたグループの機能の拡充を行いました。
また社としては、昨年当社は創業10周年という節目を迎えたことから、創業来、多大なお力添えをいただいた株主様やお取引先パートナーをお迎えし、社を挙げた盛大な御礼の会を開催し、独自のフルリモートワークスタイルを拡充するための借り上げ社宅制度の導入、オフィス環境向上に向けた検討など、社員の働き方の高度化と生産性の向上の両立、満足度の向上を目指した取り組みを継続いたしました。
このように、昨年は当社創業10周年に相応しい社の歴史に残るような多くの象徴的な取り組みを実現することができましたが、これらの活動の成果は、ひとえにお客様、株主様、お取引先パートナーの皆様、社員など多くのステークホルダーのご理解、ご支援の賜物であり、この場をお借りして改めて深く御礼申し上げます。
さて、昨年、私自身が大変嬉しかったことの一つは、社全体でコーポレート・レジリエンス力が強化されていることを実感できたことでした。
コーポレート・レジリエンス力とは、企業が環境変化やリスクに適応し、困難に直面しても、速やかに立ち直り、乗り越えられる力、能力のことですが、私共の属している暗号資産業界は、他の業界に比べ、経済、金融、規制、法律、相場、IT/セキュリティ技術など、企業経営に影響を与える要素が目まぐるしく変化しますので、それらの変化にうまく適応できなければ、あっという間に企業の存続を揺るがすような困難に直面してしまいます。
強い企業は、困難に直面した際、社員個々の知見や能力はもとより、スピーディーに一致団結してその課題解決を行っていくことのできる社全体のカルチャーや組織力が備わっていますが、これらの能力は一朝一夕で備わることはなく、日頃の意識醸成や取り組みの継続、克服実績の積み重ね無くして備わらない力だと思います。
当社は昨年創業10周年という節目で、前述の通り様々な大型の取り組みを行いましたが、その裏では、やはり大小様々な困難がありました。しかしながら当社では、それら困難に直面するたびに、当社のVALUESの一つ「ONE TEAM」が組織力として発揮され、役職や部署に関わらず協力しながら課題解決をしていくことができたと感じており、これらの様に対し、困難を乗り越える我が子の成長を見るがごとく、とても誇らしく嬉しく感じることができたわけです。
企業経営に困難はつきものですが、これからも起こるであろう様々な困難に対し、そもそも困難が起こりにくく、事前検知できる企業フレームの構築、直面しても、現状よりもさらにスマートに対処できる組織力を、本年以降も引き続き強化していきたいと考えています。
本年は、我が国暗号資産業界においても「MAKE JAPAN GREAT AGAIN」の動きが活発化してくると考えています。当社はすでに始まっている次の10年に向けて、この動きを牽引する存在になれるよう、引き続き「ONE TEAM」となって邁進していく所存です。
本年も皆様のご繁栄とご多幸を心からお祈り申し上げますとともに、引き続き当社へのご支援、お引き立てを賜りますようお願い申し上げます。