ビットコイン・ピザデーで祝賀買い? 上げ幅帳消しも視野に

先週(16日〜22日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比180,084円(4.44%)安の3,873,715円と4週続落。対ドルでは8週続落と、ある意味で記録的な下落相場を演じている。
シカゴマーケンタイル取引所(CME)BTC先物主導で週明けから上値の重い展開となった先週のB TC対円は、中国の4月小売売上高の下振れを受けた株式市場のリスクオフも波及し、400万円台の維持に失敗。エルサルバドルで開かれたビットコイン版ダボス会議への期待感からか、一時は400万円台復帰を試みるが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の、インフレ抑制に向けて「積極的な行動を検討」するとの発言を受けて、戻りを抑えられると、米小売大手Targetの業績不振を受けた米小売関連株の売りが相場の重石となり、週央にかけて370万円割れを試した。
一方、対ドルで昨年安値となる同水準で相場がサポートされると、スイスのJulius Baer銀行の暗号資産(仮想通貨)取引サービス提供開始や、イスラエルのクレジットカード会社2社のBTC売買サービス開始などを受け反発。週末前の米株が寄付きから強く売り込まれたことで、BTCは上げ幅を綺麗に解消したが、対ドルの昨年安値水準となる370万円周辺で下げ止まった。
週末のBTC対円は、薄商いの中、売り一巡の様相でジリ高となると、22日の「ビットコイン・ピザデー」に祝賀買い的な特需が生まれたか、一段高を演じ380万円を回復。今朝方にはもう一段高トライしたが、CMEのBTC先物がギャップアップして今週の取引を開始したことで上値を抑えられている。


今週も引き続き、BTCの上値は限定的と見ており、下値へのリスクを警戒したい。
週末ににわかに反発した相場だが、出来高の増加を伴っておらず、テクニカル的には心強い反発ではなかったと言えよう。また、週末に上げた影響で、CMEの先物は740ドルほど窓を開ける格好となっており、週末の上げ幅が掻き消されるシナリオが視野に入る。ビットコインのハッシュレートも前回のレポートからさらに低下しており、需給バランスは改善されていない。次回のマイニング難易度は下方調整が想定されるが、ディフィカルティが底を打つまでは実需筋の売り圧力が懸念されよう。
さて、先週は米小売業の業績不振を巡り、S&Pの一般消費財及び生活必需品セクター指数が強く押したが、今週もBest Buy(24日)、Dollar General(26日)、Costco(26日)などの決算発表を控えており、下げ幅をさらに広げるか注意したい。また、今週は24日に米PMIとリッチモンド連銀製造業指数の発表も控えているが、いずれも前回からの低下が予想されており、市場のリスク選好度を回復させる材料は引き続き乏しいか。
26日未明に公開される、米連邦公開市場委員会(FOMC)5月会合の議事要旨や、27日の4月米個人消費支出(PCE)からはネガティブサプライズを想定していないが、それまでに悪材料を出し尽くして欲しいところだ。



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bitbank Report 2022/05/23:ビットコイン・ピザデーで祝賀買い? 上げ幅帳消しも視野に